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【南大東島再訪記】「平成のコメの道」〈中〉
「私たちが草を取った田んぼで採れたんですね」

【南大東島再訪記】「平成のコメの道」〈中〉<br>「私たちが草を取った田んぼで採れたんですね」

 「おいしい伊那のコメを存分に味わってください。末長く交流を続けましょう」
 4日南大東村役場で行われた友好米贈呈式では、伊那市の経済部長・伊藤量平さんのメッセージが代読された。
 島民に伊那のコメを食べてもらおうと、「友好田」を発案したのが伊藤さんだった。「島に水田がないのなら、作って送ってやればいいね」。3月に島を訪ねた伊那市民が市役所に報告に訪れた折の一言が引きがねになった。
 話を伝え聞いた地主の細田清登さんからすぐに田んぼ貸与の申し出があり、3月の訪問団の一員で自らコメを作る唐沢健さんや畠忠弘さんが耕作の先頭に立った。一人で2度島を訪ねたことがある飯塚眞佐志さんも加わった。6月12日に東春近で行われた田植えにはボランティアで30人もが集まり、南の島に送る稲の苗を植えた……。こうしてできた友好米だった。
 「自分たちでコメを作ってそれを島に送ってくれるなんて、今までまったく経験のないことなんですよ。みんな本当に喜んでいます」島の仲田建匠助役は話した。
 8月に伊那を訪問し、田の草取りを経験した島唄の「ボロジノ娘」や大東太鼓「碧(あおい)会」の子どもは、口々に「本当にあの田んぼ取れたおコメなの?」「まだ、膝の上くらいまでしか育ってなかったのに、あれからどうやって稲が伸びたんですか?」などと盛んに質問してきた。
 集まってくるほかの子どもに「泥がさぁ、ビチャーってつくんだ」「ズブズブって足が沈んでいくんだ」窶狽ネどと、8月に初めて経験した田んぼの感触を彼らが話すと、「俺も行きたい」「田植えをしてみたい」との声が沸きあがった。
 4日夜あった歓迎会の場で、「じつは伊那で田植えに集まった人の中には田植え初体験の人が何人もいた」「稲刈り前に田んぼに水がないのを見た非農家の人が、これはマズイと勝手に水を入れて、農家の人に怒られたこともあった」などと裏話を話すと、笑いともに「へぇ縲怐A伊那でも稲づくり未経験の人がいるのか」という驚きの声も上がった。
(毛賀沢明宏)

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