伊那市富県北福地・はらぺこ保育園
子どもには、里山の中で多くのことを感じながら育ってほしい。こんな保育園、あったらいいね窶煤B母親たちのそんな思いが詰まった「はらぺこ保育園」。森の中にある園舎での生活も、半年を経過した。四季の移ろいと共に、さまざまな表情を見せる里山からは、元気な園児13人の笑い声がいつも聞こえてくる。「先生、こんなもの見つけたよ」「お母さん、楽しいね」。子どもたちは感じたことを全身で表しながら、目を輝かせている。
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全てが手探りからのスタートだった。はらぺこは一方的に預かってもらう場所ではない。母親たちは、園を開始する前に「どんなことをしていきたいか」を保育士の小林成親さんと話し合った。
「命を生かすためのすべを学んでほしい」「『俺は子どものころさんざん山で遊んだぞ』と、言えるように育ってほしい」「何かを創り出す喜びを感じてほしい」、それぞれ表現は異なるが、全ての根幹には「豊かな自然と向き合う中で、健やかに育ってほしい」との願いがあった。作成した“やりたいことリスト”には、山遊び、草木染め、畑づくりなど、が挙がった。
そんな思いに支えられ、活動してきた子どもたちは、親が追いつけないほどのスピードで、自然から多くのものを吸収している。
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はらぺこで変わるのはむしろ母親窶狽ニ話す人もいる。月に2、3度ある「保育当番」は、母親が保育をサポートする日。家庭との両立は大変な面もある。しかし、子どもの成長を間近で知ることができる貴重な時間、自分の子どもと同じくらい愛情を注げる園児たち、自分と子どもを十分理解し、相談に応じてくれる力強い母親仲間・保育士の協力は、悩みや不安さえも吹き飛ばしてくれる。保育・子育ての楽しさや喜びを教えてくれる「はらぺこ」のつながりは、貴重な財産。
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保育士・小林さんは、一人一人の園児と向き合うことを大切にしている。個人差はあれ、子どもは自分で道を発見し、前へ進む力を持っている。だから今の姿を受け入れて待つ。理屈で行動を制限することは簡単だが「どうしてか」を、自身の体験を通して学んでほしい。それは時間のかかることかもしれない。ただ、生きた経験から納得すれば、一生子どもの中に残る。
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母親たちは呼びかける。「小さい子どもと向き合えるのはほんのちょっと。ここはその時間をがっちりと向き合える。気軽に親子で遊びにきませんか」。
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はらぺこは来入児を募集中。入園体験も受け付けている。問い合せは、はらぺこ保育園(TEL76・3341)で平日午後2時縲恁゚後3時に受け付ける。それ以外の時間は(TEL090・1769・4427)伊藤さんへ。
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(伊藤愛子)