第54回県縦断駅伝競走「上伊那」が王者奪還
アンカー・守屋智春(46)=嬉楽Q=がゴールテープを切ると、選手らが前日1位チームとの差25秒をカウント。勝利を確認すると胴上げで祝福し、歓喜の声を上げた窶煤B
第54回県縦断駅伝競走(県陸上競技協会など主催)は19、20日、長野市から飯田市までの20区間(218・4キロ)で競った。上伊那は1日目のトップ「全諏訪」と25秒差の2位でスタート。選手が一丸となってたすきをつなぎ、最終区で逆転。3年ぶり、33回目の総合優勝を果した。
優勝タイムは2位の全諏訪と1分18秒差の11時間51秒44だった。
2日間の区間優勝数は全諏訪が最多の6区間に対して、上伊那は3、10区の2区間のみ。チームの総合力で勝利を手にした。
県縦断駅伝競走
第54回県縦断駅伝競走は、上伊那が3年ぶり、33回目の総合優勝を果した。
2日目に地元入りした上伊那は、主導権を握る全諏訪、初日3位の「長野市」と熾(し)烈な争いを展開するが、トップとの差は最大3分20秒以上と引き離される。しかし、17区から19区で着実にタイム差を縮めると、トップを追走した。
19区のベテラン羽生(30)=養命酒=はトップと1分19秒差の3位でたすきを受けると、前を走る長野を目標に、観客の声援を背にして走り2位に浮上。全諏訪と30秒差をつけて「焦らないように」と言葉を添えて、チーム最年長のアンカー守屋にたすきを託した。
前日のタイム差と合わせて55秒の遅れ。守屋にとって30秒は射程距離内のため、約2キロ付近で並ぶと一気に引き離した。あとは時間との戦い。「皆の期待にこたえるため、後ろを見ずに全力で走った」と最後の上り坂も速度を緩めずゴールを目指して激走し、33回目の総合優勝へ導いた。
上伊那を3年間指揮してきた有賀監督(59)は「危機感はあったが今年は絶対に盛り返そうと思っていた。結果が出て嬉しい」と語り、「優勝したことで選手たちの自信にもつながった」と連覇に期待した。
アンカー守屋 愛娘の並走・元気100倍
守屋はゴールへと続く最後の上り坂を、沿道を走る一人娘・風姫さん(14)と並走した。「負けるな」「あと少し」と声援を送る愛(まな)娘。「いつものことで娘の応援が一番元気になる。苦しいときにエンジンをかけ直せた」と照れながら語った。
春富中学校の陸上部に所属する風姫さんは、前回大会から一緒に走る。「娘の応援があったから今年も頑張れた」という。
居酒屋の店長・守屋は、激走を信じるアルバイト学生や常連客にも支えられた。学生らは、徹夜で寄せ書きした横断幕を広げて、常連客とゴールで待った。走る姿を初めて見にきた一人の学生は「守屋さんにとっては1年間の集大成の大会。優勝したときの笑顔を見れて本当によかった」と話した。