南アルプス国立公園指定50周年記念特集⑦
南ア北部地区山岳遭難防止対策協会
手紙「先月の甲斐駒ヶ岳での当方会員の遭難事故に際しましては、ひとかたならぬお世話になりましてありがとうございます。 せっかくの連休にもかかわらず私共のために危険な救助活動に力を尽くしてくださいました。 突然のでき事に驚きと悲しみと不安でいっぱいだった私たちにとってどんなに心強く救われた思いがしたことか・・・ ご家族の手でご葬儀を終えられまして、私共もお別れをいたしました。 本人は、まだまだ大好きな山登りを続けていきたかったのだろうと思うと胸がいたむばかりです。 今後は、各自1人1人が万全の準備を怠ることなく安全登山を楽しむよう留意するつもりでおります。 南アルプス北部地区山岳遭難防止対策協会隊長 西村和美様」 登山者の遭難救助活動をしている南アルプス北部地区山岳遭難防止対策協会は、昭和37年1962年12月に旧長谷村の浦公民館で発足しました。 協会は、南アルプスの北部、鋸岳から塩見岳までが主な管轄エリア。 隊員は、80人で、市役所職員がその大半を占めています。 山岳遭難が発生した場合は、消防団と同様24時間365日出動を求められます。 おととし、創立50周年を迎えた協会は、南アルプスの歴史とともに歩んできました。 4代目隊長の西村さんは「一番の自慢は、二次遭難を出していないこと」と話します。 長谷溝口の西村和美さん69歳。 仕事は第一線を退き趣味の木工を楽しんでいます。 平成5年から隊長となり、今も現役で隊を指揮しています。 南ア北部を知り尽くし、守ってきました。自然と動物、酒と自由をこよなく愛する山男で、その気さくな人柄は、隊員から厚い信頼を受けています。 隊長就任以来の出動回数は70回以上。 救助活動には常に危険がつきまといます。 隊の発足当時から現在まで活動を見守ってきた長谷総合支所長の中山晶計さん。 隊員を山に送り出す家族にも寄り添いました。 中高年を中心とした登山ブーム、軽装備の登山者の増加、技術やモラルの低下で遭難事故も増加傾向にあります。 登山者には遭難者にはなるなと呼びかけ、二次遭難は出さない。 南アルプス北部遭難対策協会のプライドです。