酒井さんが1年4カ月ぶりに演奏活動再開
宮田村北割区のマリンバ奏者酒井保美さん(33)が、精神障害と左半身がしびれる病気に悩みながらも1年4カ月ぶりに演奏活動を再開。先月自身が患者として通院する駒ヶ根病院(駒ヶ根市)の病院祭でコンサートを開き、同じ心の病と闘う仲間にエールを贈った。理解がないまま偏見が残る精神の病気。「いつか仲間全員が病気を隠すこともなく暮らすことができたら」と活動は続く。
「コンサートが終わった後、本当に腰が抜けちゃった。それだけ緊張していたのかも」と酒井さん。しかし、ブランクを感じさせずアンコールを含む計9曲を見事に演奏した。
会場に詰めかけた患者や家族、医師ら約60人は熱心に耳を傾け、演奏中に席を外す人は1人もいなかった。
「つたない演奏なので、私には気持ちを伝えることしかできない。それなのにみんな感動してくれて」と振り返る。
酒井さんは10年ほど前に精神障害を発症。さらに4年ほど前には骨が血管を圧迫し、左半身がしびれた状態になる「胸かく出口症」を発病した。
それでもリハビリしながら、昨年からは宮田村の福祉交流施設「なごみ家」に職員として勤務。
精神の障害について少しでも多くの人に理解を深めてもらおうと、自身の病気も告白して活動に取り組んでいる。
駒ヶ根病院のコンサートから約1カ月。通院するだけだった病院で、変化がおきた。演奏を聞いてくれた患者らが、気軽に声をかけてくれるようになったという。
「最初は遠慮しようと思っていたコンサートだったのに、新たな人とのつながりも持てた。今後もちょっとした演奏会がやれればいいですね」。