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理容室もブラスバンドも親子で共演
吉田理容室
吉田常廣さん(57)
吉田明弘さん(31)

伊那祭りには消防音楽隊の演奏を聞いて

 伊那市荒井区元町の小沢川沿いで親子で理容室を営む。腕は上々と評判。だが、親子で一緒にやるのは床屋の仕事だけではない。
 2人とも、伊那市消防音楽隊の中心メンバー。仕事のかたわら、1月の出初式から、春季訓練(定期演奏会)・秋季訓練、伊那祭り、防火パレードなど数々の場面で演奏する。週1回(月曜日)の練習も欠かさない。
 父親常廣さんはフルート・ピッコロの担当。1989年の伊那市消防音楽隊創設メンバーの1人で、副隊長、隊長を務めたこともある。「人手不足だから還暦まで現役でやれということなんですよ」と笑う。
 創設当時、県内に消防音楽隊は数多かったが、上伊那には1つもなかった。防火意識の向上のためにも結成しようと話がまとまり、伊那中時代にブラスバンドの経験があった常廣さんが立役者の1人になった。
 当時の隊員は約30人。一時期かなり減少して苦しい時もあったが、現在は再び30人ぐらいに持ち返してきているという。
 息子明弘さんは隊創設1縲・年後、当時まだ中学生だったが練習に参加するようになった。トランペット担当。中学・高校と隊で演奏した。高校を卒業して修業で東京都と塩尻市で暮らし、5年前に帰郷。戻るとすぐに音楽隊に復帰した。「父がやっていた影響でブラバンを選んだんですよ」と一言。常廣さんの顔がほころんだ。
 04年からは地元の伊那消防団第1分団のラッパ隊にも加わり活躍。05年の市内のラッパ隊大会ではみごと1位にもなった。「トランペットをやっているからラッパ隊の技術向上の役に立てると紹介したんだ」と父親が言えば、「今は、いろいろな職業の人とめぐり合えるから楽しいですけど、初めは余計なことを言ってぇ窶狽ニ思いましたよね」と息子。
 消防音楽隊のレパートリーは約100曲。6・7日の伊那祭りではパレードに参加して、「マツケンサンバ」「宇宙戦艦ヤマト」「スカイ・ハイ」などのおなじみの曲を演奏する。明弘さんが参加する消防団ラッパ隊も、05年から、伊那祭り「やる気」委員会の提言を受けて、旧市役所跡地の駐車場に作られるお祭り広場で演奏する。
 消防団ラッパ隊は消火活動の際の重要な伝令役であり、伊那市消防音楽隊は、市民の防火・防災意識啓発の先頭に立つ重要な役割を担う。
 創業60年にもなる床屋の2代目おやじと跡取りの3代目が、親子で続ける消防音楽活動。伊那祭りの行われる演奏には、そんな人々の街を思う気持ちが込められる。
(毛賀沢明宏)

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