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県縦断駅伝に9年ぶり出場
滝澤恵美さん(25)

駒ケ根市北割一区

県縦断駅伝に9年ぶり出場<br>滝澤恵美さん(25)

 15チームが優勝を競った県縦断駅伝(11月19・20日)に9年ぶりに出場。第4区(3・2キロ)を任され、区間6位の好走で上伊那チームの優勝に大きく貢献した。「監督は、今年は絶対優勝したいと言っていた。私は、とにかくみんなの足を引っ張らないようにしたい竏窒ニだけ思って走りました」
 9年間の長い空白の中には、順調な競技人生から一転して絶望のどん底にたたき落とされた辛い日々があった。
 ◇ ◇
 「小学校のころは短距離が本当に遅くて。長距離ではまあまあ速い方だったけど、でも1番じゃなかった」小学校6年の時、2歳上の姉が全国都道府県対抗駅伝大会に出場した。京都を走る姉の姿に刺激され「私もあんなふうに走りたい」と陸上を始めた。
 県縦断駅伝には中学2年から高校1年まで3年連続で出場を果たし、区間賞にも輝く栄光の時代を経験。進学した大学では駅伝部に所属し、全日本大学選手権(インカレ)で1万メートル2位などの好成績を挙げて周囲からも将来を期待されていたが…。
 大学3年の時、突然の悪夢が襲う。しばらく前から感じていた足指の痛みがなかなか引かず、仕方なく医師に診てもらったところ「手術が必要だ。直ったとしても今まで通りに走るのは無理」と思ってもみなかった宣告を受けた。「体質的に骨が弱かったところへ、無理な練習を続けてきたせいではないかと…。どん底に突き落とされたような気持ちでした」自己ベストを次々に更新するなど順調に力を伸ばしていた絶頂期のさなかだっただけに、何としてもあきらめ切れなかったがどうにもならない。無念さを胸に競技生活に泣く泣く別れを告げ、仲間を陰から支えるマネージャーの役に回った。
 ◇ ◇
 大学卒業後は駒ケ根市役所に就職。競技はあきらめたが、激しい練習をしなければひどい痛みが出ることはないので、自宅周辺を一人黙々と走り続けた。
 今年の県縦断駅伝の選考会には記録係として会場入りした。当日、旧知の役員に「痛みがないのならちょっと走ってみたら?」と勧められ、軽い気持ちで出場したところ予想外に調子が良く、痛みもまったく出なかった。好記録で走り切り、あれよあれよという間に選手として選ばれた。
 「競技を離れてもう5年になる。現役の若い選手に比べて力が落ちている分、絶対に故障しないよう心掛けて練習しよう」レース当日まで足に気を遣いながら慎重に調整を重ね、9年ぶりの大会に臨んだ。
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 毎朝約10キロのランニングを欠かさない。「今日は走りたくない、なんて思ったことはない。ランニングは日常生活の一部で、もう当たり前になっているんですよ」
 勤務の傍ら、スポーツ少年団の指導をしている。「昔から、練習のメニューを作ってもらったり、車で伴走してタイムを計ってもらったり、たくさんの人にお世話になった。今度は私が地域の子どもたちを育てる手助けをすることで、その恩返しができたらいいな」

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