中尾歌舞伎 29日の本番前に練習に熱
演目は「一谷嫩軍記 熊谷陣屋の段」
伊那市長谷に伝わる農村歌舞伎、中尾歌舞伎の春の公演が29日祝日に行われます。 本番を前に歌舞伎保存会では練習に熱が入っています。 24日夜は、中尾歌舞伎保存会のメンバーが、中尾座に集まり、稽古を行いました。 演目は、「一谷嫩(いちのたにふたば)軍記(ぐんき) 熊谷(くまがい)陣屋(じんや)の段(だん)」です。 去年の春上演するはずの演目でしたが、30年近くメンバーを指導してきた西村清典師匠が去年3月に亡くなったため、春の公演は中止となりました。 指導者を失った保存会では、今回、通常よりも1か月ほど早い1月下旬から稽古を始めました。 5年前に上演したビデオを参考にしながらそれぞれが練習を重ねてきました。 熊谷陣屋の段は1時間半の大作で、戦の悲しみと武士道のむなしさを浮き彫りにした物語です。 古典的な格調を備えた名舞台とされています。 源義経に仕える主人公の熊谷(くまがい)直実(なおざね)は、一の谷の戦いで、平家の公家・平敦盛と戦います。 義経からの「若い平家の命を散らすな」との心を察した熊谷は、敦盛を助け、年の近いわが子・小次郎を身代りに立てます。 熊谷の前半での勇壮な見得、わが子の死に驚く熊谷の妻・相模の嘆き、熊谷の押し殺した「くどき」などが見所です。 中尾歌舞伎保存会の春の公演は、29日祝日の午後1時30分から、伊那市長谷の中尾座で上演されます。