さんよりこより
伊那市美篶と富県桜井の天伯社
三峰川をはさんだ伊那市美篶と富県桜井の天伯社に古くから伝わる奇祭「さんよりこより」が7日に行われました。 伊那市美篶の下川手・上川手の境にある川手天伯社には、七夕飾りを手にした子どもたちが集まりはじめました。 天伯社では神事が行われ、ご神体が神輿の中へと移されます。 その神輿の下を3回くぐると無病息災、安産のご利益があるといわれていて、集まった子どもたちや近くの美篶西部保育園の園児がくぐっていました。 さんよりこよりは、三峰川の氾濫を治め無病息災を祈る行事です。 応永年間の1427年、高遠の藤沢片倉にあった天伯様が大洪水で流されて、桜井に流れついた後、再び流されて対岸の川手に流れつきました。 そこで、川手には、大棚機(おおたなばた)姫(ひめの)命(みこと)、桜井には瀬(せ)織津(おりつ)姫(ひめの)命(みこと)と、双方に天伯社が祀られたと言い伝えられています。 神輿くぐりが終わるとさんよりこよりが始まりました。 子どもたちは、さんよりこよりと唱えながら3周した後、合図とともに氾濫を引き起こす鬼に見立てた大人を滅多打ちにし、これを3回繰り返します。 さんよりこよりで川が鎮められると、神輿が天伯社を出発。 桜井の天伯社をめざし、三峰川をわたっていきます。 40年ほど前に三峰川の水が多かったため、車で桜井天伯にご神体を運んだところ、ひょうが降って農作物が全滅したことがあったということです。 無事桜井天伯社に神輿が到着しました。 神輿からご神体が取り出され、1年に一度の逢瀬となったのです。 さんよりこよりは、伊那市の無形民俗文化財に指定されています。 毎年曜日に左右されずに8月7日に行われています。