遺族が伊那市に作品寄贈 1月・伊那文で公開へ
富県出身の洋画家・春日清彦さん
伊那市富県出身の洋画家・春日清彦さん(1907竏・2年)の油絵や素描など約80点がこのほど、遺族から同市に寄贈され、市は来年1月下旬から県伊那文化会館で寄贈品を展示する。
春日さんは富県桜井の生まれで、県立伊那中学校(現伊那北高校)を卒業し、旧東京美術学校へ進学。台湾に渡り教職についた後、旧制長野師範学校、信州大学教育学部の助教授として、熱心に美術教育に携わった。
45歳の若さで亡くなったこともあり、展示は1953年6月に長野市で開いた遺作展など数少ない。実力を持ちながら中央画壇に名をはせることなく、自分の道を歩み続けた。
作品は伊那北高校や上伊那郷土館にあるだけで、ほとんどを遺族が保管。今回、奈良県桜井市に住む妻・チエ子さんから「郷土に寄贈したい」と申し出があった。
寄贈品は油絵、水彩、素描など5号サイズを中心に油絵道具など、自宅に保管してあったほとんど。故郷の風景や自画像、人物、花の絵が中心で、一貫した軽妙な筆さばきは鮮やかで、全体に温かみがあり詩情が漂う作品が多いという。
展示会は県伊那文化会館が例年開く、伊那谷の作家を紹介する「伊那谷の美シリーズ」として、1月27竏・月19日、寄贈品の大部分となる約60点を披露する。