七夕の奇祭 さんよりこより
三峰川を天の川に見立て年に一度の逢瀬
伊那市の三峰川をはさんで北の美篶川手天伯社と南の富県桜井天伯社で、毎年8月7日の七夕に行われる奇祭「さんよりこより」が7日に行われました。 さんよりこよりを2日後に控えた5日、美篶川手天伯社には、上川手と下川手の住民が集まり、高さ15メートル以上ののぼりを建てます。 のぼりは、川手天伯社の東側に上川手が、西側に下川手がそれぞれ2本ずつ建てますが、両地区が助け合いながら作業は進められます。 昔から伝わる建て方で建てるため、すんなりとはいきませんが、1時間ほどで4本ののぼりが建ちました。 7日は、正午からの神事のあと、ご神体を乗せた神輿の下を地域の子どもたちが3回くぐり、無病息災を祈願します。 その後、神社脇の公園でさんよりこよりが行われました。 三峰川に洪水を引き起こす鬼役の大人2人が笠をかぶって太鼓をたたくのを中心に、七夕飾りを手にした川手の子どもたちが輪になって囲みます。 子どもたちは、「さんよりこより」と唱えながら3周した後、鬼をめった打ちにし、これを3回繰り返し鬼を退治します。 300年続くといわれているこの行事は、その昔、高遠の藤沢にあった天伯様が大洪水で流されて桜井に流れ着いた後、ふたたび流されて対岸の川手に流れ着いたとされ双方に天伯社が祀られたと言い伝えられています。 三峰川を天の川に見立て神輿が渡るさまは、七夕の織姫と彦星の年に一度の逢瀬になぞらえられています。