多目的補助犬を知っていますか?
「多目的補助犬」という言葉を聞いたことがあるだろうか。一般的に「盲導犬」「聴導犬」「介助犬」など、一つの役割を負い、障害者の生活を手助けする犬を「補助犬」と呼ぶ。普及の促進は今後も一層必要だが、存在自体の認識は高まってきた。
多目的補助犬は、これら補助犬の役割を複数できる訓練犬。しかし、まだ正式な呼び名もなく、一般には知られていない存在。国内で数えるほどしか存在しない。
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宮田村の日本聴導犬協会は、聴導犬と介助犬の仕事ができる多目的補助犬「しろ」の訓練に国内で初めて成功した。「しろ」の訓練は02年、聴覚障害と身体障害を持つ女性の要望から始まった。
一言で補助犬と言っても、支持に従う忠誠心が要求される盲導犬に対し、聴導犬は音を聞き分けて伝える行動力が要求されるように、役割に応じて求められる資質も違う。複数の役割を担う多目的補助犬は、時と場合に応じて行動を選択する必要があるが、それを判断するのは、かなり高度な技術。そのため、能力の高いごく少数の犬しか多目的補助犬にはなれないといえる。
しかし、実際にそれだけの能力がある犬であれば、基礎訓練は順調に進むことも多い。「しろ」の場合も、ほかの犬の訓練を見て、介助訓練を覚えてしまった。
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どんな補助犬にとっても、一番の難関となるのがユーザーとの合同訓練。その原因は、ユーザーの意識にあることが多い。
補助犬は、手放しで安心な生活を提供する存在では決してない。生活を共にするユーザーは、自分の社会的責任において補助犬を守らなければならないため、一人だった時以上に大きな責任が伴う。また、どんなに優秀な補助犬であっても、訓練の継続は必須。犬と根気良く向き合い、一つひとつを共に覚えていかなければ、合同訓練は成功しない。
補助犬との生活は、ユーザーにも相当高い意識を要求する。
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高齢化の進展に伴い、重複障害者が増加する可能性は高く、多目的補助犬へのニーズは確実に高まると考えられる。越えるべきハードルは高い。しかし、普段の生活にも命に関わる多くのリスクを抱える障害者にとって補助犬は、正にかけがえのない存在となっていることも事実。そうした安心感を必要とし、求めようとする人も増加していくだろう。