信州の名工 池上敬造さん
「長いことやってきたかなとは思うんですけど、まさかこういう賞をもらえるとは思っていなかったので、いいのかなあって」 建築板金工の池上敬造さん、60歳。 高遠高校卒業後、地元企業に就職し、19歳の時に父親が経営する池上板金店に入りました。 33歳の時に池上板金工業に改組し、社長に就任。 現在は長野県板金工業組合の理事も務めています。 建築板金工は、金属の板を加工し、建物の屋根や外壁などを作る仕事です。 屋根の吹き替えのリフォームが中心だということです。 「リフォーム工事をやっていて、お施主さんが「きれいになって嬉しい」って言われたときが一番うれしいですね」
昭和61年には全日本板金工業組合の全国大会に出場し、技能競技の部で5位に入賞しました 基本的な技術を使い、すべて手作業で仕上げています。
また、平成10年には「そらとぶクジラ」がモチーフとなった長谷保育園の屋根を施工しました。 「アールになったりしてる建物だったので、どの材料で、どういった葺き方でやればいいのか悩んで。後で見ても「苦労したよなこの屋根」っていうか。一番心に残ってますけどね」 この仕事に携わって40年がたち、かつて手作業で行われていた加工も、現在はほとんど機械化されています。 池上さんは、「若い人達に手作業の加工技術を伝えていきたい」と話します。 「今はこれ(手作業)ができないから、きちっとしたものをできる人が本当にすくなくなってきた。もう少し見直して、大事にしてもらいたいです」