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ブラジル母国語教室「BABY KID’S」保育担当
駒ヶ根市赤穂
関口一枝さん

ブラジル母国語教室「BABY KID’S」保育担当<br>駒ヶ根市赤穂<br>関口一枝さん

 「ポルトガル語で『うんちが出る』っていうのは“コッコ”っていうのだけど、最初はそれさえも分からなくて大変でした」
 伊那市双葉町にあるブラジル人母国語教室「Baby Kid’s」(飯島ヨシムネ代表)の保育担当。昨年3月、代表の飯島さんが一時帰国することになり、その間の3カ月間、留守を引き受けることになった。「今は約束の3カ月を過ぎているのだけど、慕ってくれる子どもたちや、日本の事情がよく分からないスタッフに『いてほしい』って引き止められて、なかなか戻れなくて」と笑う。
 ◇ ◇
 高校卒業後、オーストラリアへと出かけた次男が身ぐるみをはがれ、斬りつけられるという事件に遭遇。しかし、近くにいた中年女性が面倒を見てくれたおかげで、息子は無事に帰国することができた。見ず知らずの外国人を助けてくれた女性に感謝しながら「きっと日本で生活する外国人も、いろんな不安を感じているんだろうな」と実感した。少しでもそうした人たちの力になれれば竏窒ニ、出稼ぎに来る日系ブラジル人の家族と交流するようになる。そんな中「会社の寮を使って日系ブラジル人の子どもたちを見ている人がいるよ」と紹介されたのが「BabyKid’s」の前身となる託児所だった。そこから親戚付き合いのような交流が始まる。
 ◇ ◇
 母国語教室との付き合いは20年近い。保育士として勤め上げたキャリアもあったが、日本の保育園と違い「言葉の壁」がある母国語教室での生活には、当初戸惑うこともあった。何が原因で泣いているのか分からず、なんて声をかけてあげれば良いのか分からない竏窒サんな状況もしばしば。しかし、日本語ができる子どもの力を借りて、何が原因かを知ることができるようになった。ここまでがんばってこれたのは、子どもたちが与えてくれたパワーのおかげ。
 教室にはポルトガル語しか話せない子どもも多い。「せめてあいさつくらいは」と毎朝、ポルトガル語のおはよう“ボンジーア”に続けて、日本語で“おはようございます”とあいさつするようにしたところ、最初はポルトガル語しか話せなかった子どもが「おはようございます」とあいさつしてくれるようになった。「いただきます」を言う習慣もなかったが、それも言えるようになった。こうした日々の変化を発見することが、何よりの楽しみとなっている。
 「もういい年なので、今後は自分の趣味の時間もほしいなっと思って。ただ、保育担当を離れても、母国語教室や日本にいるブラジル人家族とは変わらず交流をし、自分にできることを続けていきたいと思ってます」

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