南ア食害対策 継続の必要性訴える
今年取り組み10年目を迎える「南アルプス食害対策協議会」は17日、活動報告会を開き、活動を継続していく必要があると訴えました。 この日は伊那市役所で報告会が開かれ、関係者などおよそ100人が出席しました。 南ア食害対策協議会は、ニホンジカによる深刻な食害を広域的に食い止めようと、関係市町村や国、県、信州大学農学部などが平成19年に立ち上げました。 伊那地域では主に、仙丈ケ岳の植生保護のためのシカ柵やくくりワナの設置、また猟友会による捕獲などを行っています。 報告会では、信大農学部の竹田謙一准教授は、シカは間伐をした場所よりもしていない場所の方が多くなっていると話しました。 竹田准教授は「これまでの捕獲で、シカは人の入りづらい場所に移動している。減っているという報告もあるが、実際は目に見えない場所で生息している」と話していました。 また、南信森林管理署の相馬夏美さんは、今後の課題について話しました。 管理署がワナ設置に携わった職員に対して行ったアンケート調査によると、39%が「現場の見回りに対し負担を感じる」と答えている一方で、73%が「今後も現状維持での継続が必要だ」と答えています。 この結果から管理署では、非常勤職員となる猟友会会員の雇用や、見回り・捕獲の効率化が今後の課題としています。 協議会長の白鳥孝伊那市長は「暮らす場所からは離れた場所にあり、たどり着くにも苦労する場所での活動なので、大変だがコツコツと続けていくしかない」と話していました。 協議会では、発足10年目を迎えることから、来年度、記念報告会を実施する計画です。