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俳人
南箕輪村
酒井昌好さん

「花々と俳句に親しみを」

俳人<br>南箕輪村<br>酒井昌好さん

 南箕輪村大芝高原の大芝荘ロビーで、「身近な花々の写真と俳句縲恊l々の心をいやすひととき縲怐vと題し、自らが撮影した花の写真とその花を詠んだ俳句を展示している。
 全国俳句誌「河」「みすゞ」「欅」の各同人。元上伊那俳壇会長でもある。
 「俳句は優しいようですが、鑑賞するときに難しく感ずるときがある。初心者もどのような俳句作りがいいのか考えるもの」。そこで始めたのが、花の写真と俳句を一緒に飾る展覧会。一つの句に二つの事柄を詠む手法に似て、一つの作品に俳句と写真という二つのものを並べる。
 「俳句と写真は本質は違うようだが、二つを並べると、イメージが多彩にふくらみ、見る人、読む人に深い印象を残す。俳句は花鳥風詠という。展示を参考にし、花と俳句に親しみを持っていただきたい」という。
 俳句を始めたのは、今から50年前にさかのぼる。20歳のころ、「みすゞ」の初代主宰、中村六花さんに街角で偶然に出会った。伊那北高校時代に教えを受けた化学の先生でもある中村さんに、「俳句をやってみないか」と誘われ、「みすゞ」に入った。「あの時、先生に会わなければ、俳句はやっていなかったと思う」。
 家業を手伝った後、石川島播磨重工業の関連会社に就職し、定年まで勤めた。社内報の編集長を10数年務め、自分の俳句を名前を隠して掲載したこともある。
 中央で開く、大手企業の社内報編集長の会議で、社内報を作る意義について意見を交わしたときのこと。たどり着いた答えは「やっぱり“愛”。愛を感じ、愛を育てよう」。“愛”は、俳句の世界にも共通する。「俳句から、人間生活に必要な優しさ、いたわりの心をなるべく感じてもらいたい」と願う。
 俳人の中村六花さんと森澄雄さんを尊敬し、俳句を作る。会誌に出す句は毎月25首ほど。そのために50首を作り、発想段階も含めると100首近くになる。歩きながら自然に浮かぶこともあるが、「集中力が大事。役者が芝居を演じるときと同じで意識を高めることが大切。そうすることで感覚が鋭くなる」。作ろう-という気持ちが大きな要素になる。
 “世界を見る目”も重視する。在職中は、仕事でパリやロンドンを毎年訪れた。「とにかく世界を見なければ日本は語れない」。“世界を見る目”は、俳句で自然や花を見つめる目にもつながるという。
 「森羅万象、あらゆるものが俳句になる」。それゆえに、いろいろなことを知ったうえで、俳句を作らなければいけないと考える。
 「俳句は日本の昔からのもので、大切にしないといけない。国際的にも認められ、俳句の根本にある詩の心が理解されて、『はいく』が国際語になっている。世界を見ながら国際的な俳句の広がりを見守り、豊かさを求めていきたい」
 伊那市西箕輪羽広の仲仙寺に96年、「みすゞ」の初代、2代、3代の句碑が並ぶ後ろに、句碑が立った。「伊那部宿を考える会」の会員でもあり、集会所に自詠の句が飾られている。

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