伊那谷伝統文化公演
継承・発展する一助に
伊那谷伝統文化公演が21日、伊那市生涯学習センターであった。第一部「伊那の伝統演劇公演」は「伊那の方言劇」「瓜生喬語り芸の世界」の構成。地域住民ら約300人が集まり、語りの世界に浸った。
方言劇には県伊那文化会館付属劇団「南信協同」が出演。披露宴後の様子や電話での家族のやり取り、子どもの成長などを題材に「はあるか(長い間)」「まっくろさんぼん(一生懸命)」「しとなる(成長する)」など伊那の方言を会話に織り込んだ。
劇作家や語りべとして活躍する瓜生喬さんが一幕ごとに「『ひじろ(いろり)』など生活の変化によって使われなくなった言葉がある」「縲怩セに、縲怩セもんで、縲怩ヲなど語尾に豊かさがある」など方言の意味を含めて解説。観客はうなずいたり、楽しんだりして聞き入っていた。
「語り芸の世界」では、瓜生さんが長谷村の孝行猿、駒ケ根市の早太郎をベースにした創作民話を語った。
第2部の中尾歌舞伎公演「人情噺(ばなし)文七元結」は22日。中尾歌舞伎は長谷村無形文化財に指定される。すでに入場整理券はない。
公演は、NPO法人伊那芸術文化協会(荒井孝理事長)が伊那谷にある伝統芸能や言葉の文化を見直す機会にしようと初めて企画。「メンバーの高齢化などから継承が難しい風潮がある。発展する一助になれば」と話し、来年以降も取り組みたいとしている。