「どこかマニアックな感じで」
インポートウエア・キッズ・古着ショップ「clip‐clop」店長 橋爪慎さん(31) 伊那市若宮
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01年11月22日、伊那市西町区に自分の店をオープンした。対象はメンズからキッズまでと幅広く、インポートウエア、古着などさまざまな洋服を厳選して陳列。一つのブランドに固定せず、オーナーの感性で選んだ国内外のブランド、デザイナーのアイテムを扱うセレクトショップだ。
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はじめから洋服に興味があった訳ではない。高校生のときは、制服通学で私服にもこだわらなかったという。卒業後は東京にある音楽の専門学校へ入学。友人の紹介で都会の洋服屋を訪れてから、段々と魅力を知っていった。
古着をはじめ、ビンテージ、アウトドアファッション竏窒ニ、興味を持ったファッションはさまざま。洋服の外見よりも、目に見えない価値観に興味を持つ。例えば英国製のニットセーターにしても、水夫が海上で寒さをしのぐために生まれた竏窒ネど、モノの歴史やつくり手の考え方などの・スこだわり・スにひかれていった。
バンド活動を止めてから5年間、首都圏の洋服屋で販売員として働き、25歳で帰郷。長男として親を安心させるために、地元のレンズ加工工場へ就職する。しかし、何か、心にモヤモヤとした感情を持ちながら日々を過ごした。
「洋服は好きだったが、あのまま販売員をやっていても…。服に対しても、仕事に対してもマッタリとしていた」と降り返る。そんな中、自分の店を手にしたいと思うようになる転機があった。
01年9月11日、ニューヨークテロ事件が発生。ブラウン管から伝わる悲惨な現場を見ていて、「今の自分がビルの中にいたら後悔するだろうな」と強く思った。何も保証されていないが、自分の好きなことをやろう竏秩B友人の後押しもあり、数カ月後には店を構えた。
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こだわりが3つある。▼国外で騒がれ、自分の心をくすぐるブランドに注目する▼伊那にいても、首都圏の大手セレクトショップと同時期に新商品を入荷する▼子ども服に力を入れる竏秩B
3つ目に関しては今まで手をつけていなかった領域。5歳と2歳の子どもを持つ父親としての側面が影響する。子どもの成長は早く、一つの洋服を着れる時期は短い。しかし、その時期だからこそ、カッコよくさせてあげたいという思いがある。
伊那の土地では、自分が提供する商品が受け入れられないことがある。「分かる人に分かってもらえると嬉しい。どこかマニアックな感じでやりたいんです」と、自分が感じる服への魅力や、こだわりを伝え続ける。
「その思いがなければ洋服屋をやる意味がない。この部分がおもしろいからやってる。ファッションは好きなものを好きなように着ること。その中でもこだわりを持つこと」
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◆clip‐clop(クリップクロップ)
○住所 伊那市西町区春日町4864
○営業時間 正午縲恁゚後7時30分
○定休日 火曜日
○駐車場 無
○問い合わせ 0265・76・5433