飯島町田切春日平の有害自販機撤去へ
土地明明け渡し仮処分決定
全国初の決定 町挙げての反対運動効奏
飯島町田切の春日平地籍に設置された有害図書等自販機をめぐり、地権者が東京都の業者を相手に、土地明け渡しを求めた仮処分申請で6日、地裁伊那支部(藤井聖悟裁判官)は14日以内に土地を仮りに明け渡すように命令し、松村文夫弁護士を通じて、町など関係者に通知した。業者が決定送達の日から14日以内に自販機の撤去、土地明け渡しに応じない場合は、裁判所の強制執行で撤去される。関係者は「この画期的な決定は全国初」としている。
決定通知を受け、急きょあった記者会見で高坂飯島町長は「8千人を超える署名など地権者を含む町を挙げた反対運動の後押しで、早期に『仮処分決定』を得た。設置業者は図書の販売を主としているのではなく、撤去時の補償がねらい。土地を提供しないための住民合意や有害環境浄化の住民運動が大切。完全撤去されるように、最後まで全町的な取り組みを続けたい」と気を引き締めた。
代理人の松村弁護士は▽契約書の目的違反もしくは錯誤▽公序良俗違反▽住民の反対運動を視野に入れた解約にかかわる1項-など、判断理由を分析し「何よりも町ぐるみの反対運動が効を奏した。2カ月の苦労が実り、撤去の道を開いた」と喜んだ。
広域農道沿いの有害図書自販機設置問題は昨年11月中旬、東京の業者の地権者への電話「ジュースの自販機を置かせてほしい」から始まり、28日から12月末までに計5棟10台が設置された。町は生活安全対策会議や青少年問題協議会を開き、対応を協議、署名活動を展開するとともに、1月10日、地裁伊那支部に「土地明け渡し仮処分命令申請」を提出。23日に第1回審尋、2月3日に8100人(18歳以上人口の8割)の署名を裁判所に提出した。