伊那市西春近北小学校6年すぎ組
デイサービス利用者と交流
伊那市の西春近北小学校6年すぎ組は昨年7月から、市内にあるデイサービスセンター「春富ふくじゅ園」の利用者と交流を深めている。
この活動は、昨年3月に卒業した6年生から引き継いだもの。
学校から施設が離れているため、訪問は1学期に1回程度だが、ふくじゅ園の壁がさみしいからと模造紙1縲・枚に季節や学校行事の絵を書いてプレゼントしている。
訪問する際は、児童たちが計画を立てる。修学旅行や音楽会など学校行事を劇にしたり、紙に書いたりして発表。また、利用者と一緒に七夕やクリスマスなどの飾りづくり、あや取りを楽しむこともある。1対1の会話では、利用者から生活の様子や昔の遊びなども聞く。校歌や唱歌「ふるさと」などを歌ったら、涙を流して喜んだ利用者もいたそうだ。
デイサービスには耳が遠かったり、体が不自由だったりする利用者もいる。児童たちは、職員から接し方やどんな話をしたらいいのかを勉強。高齢者擬似体験にも取り組み、耳せんや特殊めがねをかけて「人の声が聞き取りにくかった」「周りがよく見えなかった」などを実感した。利用者と接するときは、相手の気持ちを考え、大きい声で話すことを心がける。
「最初はどんなことをしたら喜んでくれるのか分からなくて、うまく話せなかった。今は、学校のことを話すと喜んでくれる」「おじいさん、おばあさんが喜んでくれると、こっちもうれしくなるし、やさしい気持ちになる」と児童たち。地域の人にも声をかけられるようになったという。
小川教諭は「自分から踏み出せない子もいたが、回数を重ねるうちに、自分たちで考えるようになった。交流を通し、感謝の気持ちを持つようになった」と話す。
卒業を控え、3月には最後の訪問に出向く。6年間の思い出発表や歌などを用意。児童一人ひとりがカードを作り、感謝の気持ちを込める。
利用者との交流はもう少しで終わるが、下級生に引き継ぎたいと考えている。