南箕輪村
橋爪純子さん
花のあるアートで季節を届ける
「庭作りと図書館に行くのが楽しみな主婦」が手掛けているのは、箱庭を作りその作品を貸し出すレンタルアート。
4年前、趣味で育てていたコンテナガーデンを貸してほしいと頼まれた。来客のときに玄関に飾りたい-などの要望に答えて貸していたが、3年前から1カ月単位で毎月季節感のある作品を貸し出すスタイルになった。
鉢花や木は、水やりなど管理が大変ということもあり、「家の中に庭を作って遊ぼう」と発想を転換。“生活の中に花を生ける”を基本に、気軽に飾れるドライフラワーや造花、枝、人形などを使った箱庭を作るようになった。
「小さい人形を一つ作り、やっとできたと思っていたら、100円ショップでもっと出来のいいものが売っていた」。そのため、例えばツクシなど店で手に入らないものは自分で手作りし、花など既製品で使えるものは利用して、花を分解して新たに妖精を作るなどアレンジして仕上げることにした。
「考えているときが楽しい。実際作ってみると難しくてできないこともあるけど、空想してるときは何でも作れる」
毎月の貸し出しのため、頭の中は季節を先取りしてアイデアを考える。1月は門松、2月は梅やおひな様、春にはツクシ、秋にはキノコ…など、「こんなのがあったらかわいいかなぁ」と考え、らくがき帳に描き止める。高校時代は漫画研究会所属で絵はお手の物。「描いとかないと忘れちゃうからね」と、らくがき帳にはデザイン化したアイデアが詰まっている。
「作るのは好き」。らくがき帳も参考に制作し、鉢の隙間にピックが欲しいと思えば紙粘土で作り、近所で木を切っていたらもらってきて活用。土台がグラグラすると思えばセメントもこねるし、ドリルも使う。材料にはこだわらず、身の回りにあるものを自由に使って箱庭を作ってしまう。
「寝たきりのお年寄りの枕元に春を、季節の移り変わりを届けたい。いくらか明るくなれるかなと思って…」。レンタルアートにはそんな思いも込めている。
レンタルアートを本格的に始めたのと同じころから、ボランティアで南箕輪村図書館に手作りの季節の飾りも届けている。
頻繁に通っている図書館に、クリスマスツリーが無いと聞き、飾り付けしたゴールドクレストを届けたのが始まり。「すっごい喜んでくれて…。図書館にいいステージをもらって遊ばせてもらってます」。
今、飾っているのは、ひょうたんの愛らしいおひな様。自分自身で畑で作ったひょうたんに、アクリル絵の具で顔や着物を描いた。ユーモアある表情で、利用者の目を楽しませている。
「なんでもやりたがり屋で、何一つ極めることができないのが私です」と笑うが、「それでも喜んでくれる人がいるので続けていきたい」という。「ゆくゆくは大きなイベント会場のディスプレイをやってみたい」と夢も抱いている。