伊那の生んだ日本画家・戸田祐暉をしのぶ
伊那「ふるさと講座」で御子柴泰正さんが講演
戦後直後、29歳の若さで夭折した日本画家・戸田祐暉(現在の伊那市東春近出身)の軌跡を追い、上伊那の日本賀の流れを探る講演会が12日、伊那市東春近の春近郷ふれあい館であった。市公民館運営委員会の主催、まほらいな市民大学の単位講座も兼ねた。
講師は市内狐島在住の表具技能士で長野県文化財保護指導委員なども務める御子柴泰正さん。戸田祐暉とは幼少期から親交があり、2000年前後から祐暉の遺作が次々と発見されるきっかけも作った。
御子柴さんは、若くして死んだ祐暉が、日本画の大家・東山魁夷との深い交わりの中で、没する直前の2年半にわたり日本画の革新に大きな役割を果たしたことを強調。特に、それ以前の画法とはまったく異なる日本画による油彩的表現法については、魁夷と並ぶ先駆者として評されるべきだとした。2000年前後に祐暉の作品が発掘され、その斬新な技法に驚いたことから、祐暉と魁夷の交わりについても新たに研究・考察しなおしたという。
研究の成果は郷土誌「伊那路」に詳しい。