伊那市で松くい虫被害を確認
06年度に対策計画を策定
伊那市で20日までに、松くい虫被害が確認された。市は06年度当初、3月31日に合併する高遠町・長谷村の森林も含めて被害対策計画(06縲・0年度)を策定し、北上を食い止める。
確認されたのは、東春近田原と西春近表木で、いずれも私有林。1月に枯損木から検体を採取し、上伊那地方事務所林務課、県林業総合センターに検体鑑定を依頼したところ、松を枯らすマツノザイセンチュウが発見された。
市内の山林面積は1万2千ヘクタールで、赤松は3千ヘクタール。そのうち、マツノザイセンチュウを松から松へ運ぶマツノマダラカミキリが飛ぶとされる標高800メートル以下が600ヘクタールある。
被害対策計画では、標高800メートル以下の松林を、松林として維持する「保全松林」、樹種転換する「被害拡大防止松林」、「その他松林」の3種類に区分し、被害のまん延を防ぐ。
巡視による枯損木の早期発見や伐倒くん蒸を継続するほか、地上薬剤散布、樹種転換などの対策に取り組む。
予防策として薬剤の樹幹注入講習会を開き、広く市民に知ってもらう。
06年度の事業費は900万円(前年度比430万円増)を見込むが、被害対策計画の策定によって変わることもある。
本年度(1月現在)の枯損木処理は250本、材積226立方メートルで、前年度に比べて62本、84立方メートル増えた。東春近、西春近が大半を占める。
市松くい虫対策協議会で20日、枯損木処理の状況などを報告。
委員の各地区財産区議長から山の手入れの必要性が挙がった。
松くい虫被害は、マツノマダラカミキリが松を枯らすマツノザイセンチュウを松から松へ運び、松枯れが発生する。上伊那地域は東西が山に囲まれ、南から北へ、天竜川の上流に向かって強い風が吹く。そのため、マツノマダラカミキリが飛んでいかないように松のないゾーン(松林保護樹林帯)を作るなどの防除対策が基本的な考え(上伊那地方事務所)。宮田村での被害は確認されていない。