リサイクル着物の店「からころ」代表 橋倉一江さん
たんすに眠ったままの着物をもう一度、よみがえらせたい竏秩Bそんな思いで、昨年7月、伊那市西春近にリサイクル着物の店「からころ」を構えた。店内には、留袖、訪問着、つけさげ、小紋、紬に加え、着物をほどいて作った洋服やベスト、バック、アクセサリー、かんざしなどがそろう。染みやほつれがあるものの、手芸などに活用できる布も豊富。
「亡くなった母の着物でバックを作って、きょうだいで分けたい」「嫁入り道具で持ってきた羽織をお父さんのベストに仕立てたい」などリフォームの要望にも応じる。
蚕を飼い、絹糸をつむいで織った当時の着物が手ごろな価格で買えるとあって、茶道、華道、手芸をする女性が多く訪れる。「『リサイクル』というと、隠しておきたいものだが、時代の流れからか、こんないいものを安く買えた」と口コミで広がり、南信地区を中心に、東京などからも利用者が足を運ぶ。一人で数枚を買い求めるケースもあり、着物を着る楽しさが増しているようだ。中には「羽織・はかまを着たい」とやって来る若い男の子、琴を習っているとブラジルから来た女性も。
「着物は日本の文化。気楽に着てほしい」と願う。着物は高いイメージだが、ここでは普段着800円から用意。「洋服の上に、はおることから始めてみては」と提案する。
また、定期的に着付教室や着物のリフォーム教室を開いている。リフォーム教室には20縲・0代の女性が通い、眠ったままの着物を生かし、新たな形に作り上げる。
全国には、着物姿を参加条件にした飲み会もあるそうで「そういう企画ができればおもしろい」と話す。
市内で30年間ほど食堂を営んでいたが、02年に夫を亡くし、年齢的にも体力が続かないと閉店を決めた。10年ほど前から、着物をなんとか再利用できないかと考え、集めていたこともあって、自然な流れで店を始めた。
「着物はあっても着ないから」「引っ越すから」と持ち込まれる着物。「何千枚もあるのに、同じ柄が一つもない。着物には洋服にない、柄や刺しゅう、色合いがある」と良さを語る。
隣接する蔵の店「唐古呂堂」には、骨とう品などがある。
もともと美容師で、店が軌道に乗ったら、老人ホームに出向いてボランティアできたらと考えている。
(湯沢康江)