第15回信州伊那井月俳句大会
大賞は山口斗人さん
漂泊の俳人・井上井月をしのぶ第15回信州伊那井月俳句大会(実行委員会主催)が11日、伊那市生涯学習センターであった。一般の部・小中学校の部の入選者を表彰したほか、節目を記念し、伊那の元気を発信しようと歌舞劇団「田楽座」公演や井上井月展を合わせて開催。「信州伊那井月俳句大賞」は山口斗人さん=飯島町田切=の「手袋を脱ぎ分身のごとく置く」だった。
応募作品は昨年より360句少なかったが、市内をはじめ、近隣市町村、埼玉県などから一般の部に279人1380句、小中学校の部に3056人7718句が集まった。中には、2月に開通した伊那と木曽を結ぶ権兵衛トンネルを題材にした句も。
城取信平実行委員長は「井月が亡くなって約120年。俳句を通じて井月の姿を思い浮かべてほしい」とあいさつし、小中学生に「外へ出て、息をする動植物や虫たちを見て俳句を作ってほしい」と呼びかけた。
表彰は一般の部、小中学校の部の合同で開き、入選者一人ひとりにそれぞれ賞状などを手渡し、選者3人が講評した。
当日句「春一番」「さえずり」「ツバキ」も受け付け、表彰した。
ホワイエでの井月展には、市民が所蔵する井月直筆の掛け軸やびょうぶなど31点が並んだ。熱心に写真へ収める人の姿もあった。
井月(1822縲・7年)は新潟県生まれ。伊那地方で約30年間を過ごし、87(明治20)年に伊那市美篶で亡くなった。俳句大会は命日(3月10日)に近い日曜日に開いている。
井月俳句大賞を除く成績は次の通り(敬称略)。
▽伊那市長賞「熊料る男もっともけものの眼」宮坂繁美(岡谷市)▽市教育委員会賞「暗がりはみ仏が負ひ秋高し」栗林久子(辰野町)▽県俳人協会賞「狩終へて尾を振る犬に戻りけり」原与志樹(松本市)▽上伊那俳壇賞「菜の花になったつもりのかくれんぼ」長瀬冬嵐(中野市)▽伊那毎日新聞社賞「晩年へ近づく障子明かりかな」堀川草芳(岡谷市)▽信濃毎日新聞社賞「庭師来て公園の冬創りけり」浜信義(下諏訪町)▽中日新聞社賞「向日葵のあたま叩いて種もらふ」御子柴保(宮田村)▽長野日報社賞「妻死にて汗のからだを残しけり」宮下白泉(岡谷市)▽市有線放送賞「冬の陽を鋤(す)き込み土をねかせけり」蟹沢真琴(宮田村)▽信州井月会賞「仙丈岳の空みづみづし朝桜」山岡むつみ(岡谷市)▽井月賞「母の忌の枯菊のまだ香りおり」上田千登子(松本市)「反骨をなだめるやうに豆叩く」笹井紀子(松本市)「別れとは振り向くことよ木の葉髪」栗林久子