日本棋院駒ケ根支部副支部長
塩澤明さん(76)
駒ケ根市赤穂北割二区塩木
赤穂公民館の囲碁講座で講師を務めて11年。4歳から83歳の市民ら約40人が集う講座で週1回、碁を教えている。さらに、講座だけでは飽き足らず、もっと強くなりたい竏窒ニいう子どもたちを自宅に招き、熱心に指導を続けている。
「囲碁は年齢、性別に関係なく楽しめるのがいい。難しいと思われがちだが決してそんなことはないし、覚えればこんなに楽しいものはないですよ。それに非常に奥が深くて、打てば打つほど夢中になる。そこが魅力ですね」
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豊科で米屋を営む両親の間に男5人、女4人の9人きょうだいの8番目として生まれた。「兄たちの通知表は甲ばかりだったが、自分だけは乙が3つばかりあった。宿題だけは家に帰ってすぐにやったが、まあ、家の中で本を読むより外に行って遊び回ってばかりいる子どもだったね」
旧制松本中学(現松本深志高校)時代、キャンプに行った高原で友人と散策していた時、北アルプスの常念岳を背にして子どもが無邪気に遊んでいる光景が目に映った。目の前に広がる絵のような情景に感動し、友人に「おい、教員やらないか」と問いかけられて「いいな。やりたいね」と即座に答えた。
1950年、20歳で数学教師として豊科の高家(たきべ)中学を皮切りに教員生活をスタート。以降県内各地の小中学校で教壇に立った。
囲碁との出会いは23歳の時。当時の校長が初段で、教頭はじめ教諭らがこぞって囲碁に打ち込んでいたことから先輩に「お前もやれ」と教えられ、たちまちその面白さのとりこになった。
「授業中にもね、この生徒は碁に向いている、やらせたらうまくなるだろうな竏窒ネどと考えたりしていた。ふと天井を見上げると碁盤に見えるほど、本当に夢中でした」
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松本や上伊那で校長を歴任するなどして退職。「その後は専ら囲碁三昧。だが昔は一晩中打っていても平気だったのが、今は年のせいか一番で駄目だね」とぼやく。「打つ時の集中力がなくなった。でも生徒に教える時は真剣ですよ。教える時にはいい加減なことはできないからね。やっぱり教えることが好きなのかな」
囲碁のほかにも拓本、絵画、郷土芸能などへの造詣も深い。
「始めたら何事も徹底的にやらないと気が済まない困った性分でね。94年に5段を取った時も土蔵に閉じこもって一生懸命にやったもんだ。もっともそれ以降はちっとも腕が上がらないけれどね。言わば万年5段ですよ(笑)」