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平野啓子語りの世界

飾りけの楽しいお話、ふんわり優しい語りに魅了

平野啓子語りの世界

 飯島町文化館で7日夜、飯島町発足50周年記念講演「平野啓子語りの世界」があった。主催・いいじま文化サロン。約300人の聴衆はエピソードを交えた飾り気のない楽しい話、ふんわりと優しい語りに魅了された。
 「,そこに一輪の花が咲いている,と言ったら、みなさんはどんな花を想像しますか」と聴衆に問い掛け、会場から「赤いバラ」の声が掛かると「その心は」と畳みかけた。「彼を待つ乙女の情熱」とユニークな答に、会場は和やかな雰囲気に包まれた。
 「語りとは声で物語を伝え、聞き手が想像し、イメージし完成させてもらうこと、物語を作り上げるにはみなさん。私は物語の輪郭を描くだけ、色を付けて完成させるのはお客様自身」と、語りの定義に触れた。
 親と子の深い無償の愛を描き、世界のベストセラーになった、ロバート・マンチ作「ラヴー・ユー・フェー・エバー」を能見祐二さんの曲に乗せて語った。「お母さんは赤ちゃんをだっこして、ゆらりー、ゆらりと揺らして歌います『ラヴーユーいつまでも、ラヴーユーどんなときでも:』。ふんわりとした暖かい声が聴衆の心に染み込んだ。
 電話やメールでなく、直接、対面してコミュニケーションを図ることの大切さを強調し「対話は正しい言葉で、相手が傷つかないように配慮することが基本。しかし、どんな正しい言葉も声の表情1つで、相手を白けさせてしまう。言葉は船のようなもの。乗っかる感情は声の表情になって、相手に届く。言葉の意味より先に声の表情が心に入ってしまう」と声の表情の大切さにも触れた。
 声の表情を替え、NHKの大河ドラマ「毛利元就」のナレーションを、源氏物語風に、平家物語調、色っぽくと、5通りで披露、「語りの芸術家」の面目を示した。

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