市議選・情勢(1)伊那
新市発足に伴う伊那市の市長選・市議選は23日告示、30日投票の日程で行われる。市議選(定数26)は初回に限り、旧市町村を区域とした選挙区を設ける。定数は伊那18、高遠5、長谷3で、それぞれ21人、8人、5人が出馬を表明し、いずれも選挙戦に突入する見通し。
旧市町村別に情勢を探る。
初回は伊那選挙区。定数18に対して、21人が名乗りを上げる。市町村合併で失職した前職18人、新人2人、元職1人。党派は無所属16人、共産党3人、公明党2人。
地区別にみると、前職5人のうち3人が引退した西箕輪は、前職倉田節子、前沢啓子の2氏が立つ。新人については「地区内で何とか立てたい」とする動きがあったが、家族の了解が得られないなどの理由から、今のところ擁立まで至っていない。有権者4790人と大票田で、他地区の立候補予定者が積極的に入り込んでいる。
東春近(有権者数4375人)は、前職飯島光豊、伊藤泰雄の2氏に加え、新人野溝直樹氏が立つ。民主党の推薦を受けた野溝氏は「建設的、実効的な施策を打ち出せる市議として役に立ちたい」と全市的な支持をねらう。
西春近(5066人)は元職飯島尚幸、前職春日晋治の2氏。北部と南部でほぼ地盤が分かれているものの、立候補予定者が前回より1人増えた東春近からの切り崩しで激しい攻防が続く。
手良は前職小平恒夫、新人竹中則子の2氏で、いずれも地元区の推薦を受けているが、有権者数1940人と少なく、他の地区から新たな票を獲得する必要がある。竹中氏は、市女団連OB有志らでつくる「明日を担う女性の会」が「政策決定の場へ女性を送り出したい」と擁立。1月下旬に出馬の意向を固めてから、全域に支持を広げている。当初、女性票の獲得に手ごたえを感じていたが、ここへ来て「やはり地元の人に」との流れが見られ、引き締めを図っている。
美篶(5551人)は前職黒河内浩、矢野隆良、若林徹男の3氏。特に決まった地盤割りがなく、フリーの立場でそれぞれが動く。手良に近い笠原や南割などに立候補予定者がおらず、票の取り合いになっている。
伊那は、有権者数2万4700人余のところ、前職新井良二、小林信、柴満喜夫、中村威夫、馬場秀則、前田久子、三沢岩視、柳川広美の8氏が立つ。竜東で5人、竜西で3人。引退した中央区高沢勝氏の地盤に、馬場氏らが切り込む。
富県(2886人)は、前職下島省吾氏のみ。安泰ムードが漂うが、攻めよりも守りの選挙は難しいと地盤を固める。
農繁期と重なり、告示前は支持者の協力を得るのが難しい状況。いずれの立候補予定者も「(落選する)3人の中には入りたくない」と票獲得に必死で、地元を中心に、あいさつ回りなど精力的にこなしている。