整体師 木下直美さん(45) 中川村大草
高校卒業後、バスガイドをしていたが、83年、結婚を機に中川村へ移り住んだ。子育てが一段落してから、中川村有線放送に勤務。12年間、アナウンサーとして地域の話題を拾い、村民に届けた。05年2月、ケーブルテレビの開局で、有線放送が解散した。
これから先を考えたとき、以前から興味を持っていた整体師が浮かんだ。バレーボールに取り組んでいたため「整体に行って筋肉をほぐしてもらうと、楽になる。感謝されて、やりがいのある仕事だろうなと思った」。しかし、それが自分にできるのかという不安もあった。新聞で見つけた松本市の西日本整体学院から資料を取り寄せ、見学にも行き、整体師の道へ進むことを決めた。
3月から半年間、週4縲・日、松本市まで通い、筋肉をほぐし、骨盤や骨格を調整する療術などを身につけた。
「先生の言うこと、やることを一つ残らず落とさないようにした。『やれ』と言われた勉強とは違うね。こんなに貪欲に勉強したのは初めてかもしれない」と笑う。
資格を取得し「整体屋・なおみ」の看板を掲げ、自宅の一部屋で営業を始めた。肩こりや腰痛で悩む人が多く、幅広い年齢層が利用する。自分の手で利用者の筋肉がほぐれていく感触を確かめることができ、やりがいを感じている。
耳つぼで車酔いにならなかった女性から「いつもバスの中でぐったりしているのに、歌まで歌ってきちゃったわよ。こんなに楽しい旅行は初めて」、四十肩で腕が上がらなかった利用者からは「楽になった」。そんな利用者から喜ばれることが何よりうれしい。
辰野総合射撃場(予約制)や依頼を受けて精密関連企業に出向いている。「整体師」の職業は浸透するまでに時間がかかるといわれ、気長に取り組んでいく。
鍼灸(しんきゅう)を勉強中の長男と一緒に、治療院ができたらと夢を描く。
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「人生いろいろ。今まで、やりたいと思ったことは挑戦してきた」そうで、趣味は多彩。「小さなパーツが形になっていく楽しさがある」パッチワーク、夏に村内で開く「どろんこバレー」の呼びかけ人で、仲間と一緒にトリムバレーも楽しむ。中川村猟友会メンバーでもあり、04年の狩猟射撃大会レディース部門で優勝した実績を持つ。
「何かを始めるとき、失敗すると思っていたら何もできないじゃない。楽しまなきゃ」と常に前向きだ。
長谷村(現伊那市)出身。