春の叙勲受章者・政務行政事務功労
酒井作衛さん(70)
大変ありがたく名誉なこと。私がいただいていいのか考えるところはあるが、勤めてきた職場への評価としていただきたい竏秩B
伊那市西春近出身。農家の長男だったが、9人の家族を農業だけで支えていくのは難しいと考え、就職の道を選択した。
初任地の飯田税務署では、映画館や興行などにかかる入場税の調査指導に当たった。伊那、諏訪、長野税務署と、関東信越6県63署を管轄する埼玉県の関東信越国税局などで酒税に関する業務に携わった。伊那税務署長、国税局酒税課長などを務めた後、94年、長野税務署長に就任。翌95年、60歳で退官した。
取り締まりの帰りに刺されて殉職した職員の話を聞き「一生懸命やらなければ」と実感した。調査に入った先で鉞(まさかり)を振り回されたり、棒で殴られることも度々あったが「力でねじ伏せられて、正しいルールが負けてしまうことは不名誉なこと」という強い信念があった。逆境もあったが「負けるものか」とかえって闘志を燃やしてきた。
「正義を重んじるなんていう格好いいものじゃなく、みんながそれぞれを分担していかなければ世の中はまわっていかない。そう思っていたんです」
勤続41年のうちほぼ半分は単身赴任だったが、職務をまっとうしてこれたのは、妻、良子さんのバックアップのおかげと語る。
趣味は山菜採り。子供は一男一女。長男は飯田税務署に勤務している。
現在は西春近諏訪形で夫婦2人暮らし。