使用禁止抗菌剤「マラカイトグリーン」
宮田養魚場含む県内3カ所で使用
天竜川漁業協同組合(後藤治也組合長)の宮田養魚場で、食用魚に使用が禁止されている抗菌剤「マラカイトグリーン」を使っていた問題について、県農政部と衛生部は17日夜、同養魚場を含む県内3カ所での使用があったことを発表した。県は各養魚場に対して、抗菌剤を使用した卵と稚魚の処分を指導し、養魚場から購入した販売先での出荷を停止するとともに、処分することを要請した。
確認されたのは宮田養魚場のニジマス、イワナの卵1786万粒、児玉養魚場(下高井郡山ノ内町)のニジマスの卵300万粒、持田養魚場(同郡木島平村)のニジマスの卵1万粒で、いずれも昨年9月から今年4月にかけて使用。各養魚場は県の調べに対し「分かっていたが使っていた」という。
マラカイトグリーンは1953年ころから、卵の水カビ寄生の予防のために使用していたが、人体に対して発がん性の可能性は否定できないとして、薬事法の一部改正により、昨年8月1日から食用魚への使用は禁止。内閣府の食品安全委員会の調べでは、これまでに発がんした症例はないという。
天竜川漁協によると、抗菌剤使用は宮田養魚場の事業所長の判断だったという。関係者は「禁止後は新しい薬を(基本的に)使っていたが、特に菌の繁殖が多い時に、今までのものの方が効き目がよいと使っていた」と話している。
同漁協は県内13者、中部圏を中心とした県外26府県57者、国外1者の販売先に対し、出荷を停止するとともに、処分することを要請。後藤組合長は「誠に申し訳ないことをした。組合一丸となって、関係各位に誠意をもって対処していきたい」と陳謝している。