県市町村対抗小学生駅伝駒ケ根市チーム監督林正俊さん
駒ケ根市中沢下割
5月7日に松本市で行われた第2回県市町村対抗小学生駅伝競走大会(県陸上競技協会など主催)に出場した駒ケ根市チームを率い、昨年の第1回大会に続いての2連覇に導いた。「正直、狙っていました」と不敵な笑顔を見せる。
連覇の重圧がかかる中、レースは2区でトップに立ったものの、中盤以降は追いすがる2位チームの猛追を受ける苦しい展開となった。
「それだけに逃げ切って1位でゴールした時は本当にうれしかった。ほっとしたと同時に胸の奥からこみ上げてくるものがありましたね。監督冥利に尽きる瞬間でした」
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元はバレーボールの選手だった。全国大会にも出場するなど中心選手として活躍したが「身長も低い方だし、ある時期からバレーには限界を感じるようになっていた」。
そんな時「選手が足りないから出てくれないか」と誘いを受けて出場した静岡県佐久間町での駅伝大会で「自分でもまったく意外な」区間優勝を果たしてしまう。23歳の時だった。
それまで陸上競技の経験はなかったが、これを機に走ることの楽しさに取りつかれ、毎日10縲・5キロをコンスタントに走るようになる。めきめきと頭角を現し、各地の大会に出場して好成績を収めた。 ◇ ◇
8年前、陸上の底上げを図りたいとの思いを押さえ切れず、地元の小・中学生を対象に中沢RC(ランニングクラブ)を立ち上げた。中学校の陸上部でコーチを務めるなどの経験はあったが、さらに本格的な指導のノウハウを求めて小学生指導者中央研修会に参加。4泊5日の日程で専門家らによる講義を受けたほか、各地の指導者との意見交換で多くの収穫を得た。
「がむしゃらに走り込むだけでは筋肉が硬くなって駄目なんです。タイヤ、鉄棒、階段の昇り降りなど、変化を取り入れながら短距離やクロスカントリーなどの要素も加えていくことの効果を学びました」
クラブに参加する子どもたちは実力も性格もさまざま。不公平にならないようどうまとめていくか竏秩B悩みながら地道に指導を続けてきた。
「結局のところ速くなるかどうかは本人の自覚次第。しっかりした考えを持っている子は強いが、自分はここまで、と線を引いてしまう子は伸びません」
「もっとビシビシ鍛えて欲しい」という保護者からの要望もあるという。
「でも今後のことも考えてやらないと。きつい練習をさせることはできますが、小学生だけで終わっていいのか、ということです」
クラブを巣立った子どもたちは既に100人にもなる。その間、駒ケ根市の陸上は着実に実力を高め、ついに大きな花を開いた。
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「自分でつくったクラブだから思い入れはあります。後任ができれば譲ってもいい気もしているが…。でもまだしばらくは続けたい。思い通りの走りができなくて半泣きで走っていたような子が目標を達成した時に本当にいい顔で笑う。そんな姿を見るのがうれしいんです」
(白鳥文男)