観光開発新体制、厳しい村民の目をいかに味方に
長期債務を抱え、06年3月期も赤字決算となった宮田村の第3セクター・宮田観光開発。23日の取締役会で昨年就任した常勤の社長は副社長に降格し、村長が社長を兼務する社長非常勤の体制に戻った。競争激化や客単価の減少、施設の老朽化など課題が山積するなかで、社長の重責が兼務できるか疑問点も再浮上。一方で村と同社が一体感を増すことにより、観光面含め村の幅広い施策に結びついていく可能性もある。
同社は2年前から経営改革に着手。社内外で構成した検討委員会は経営責任の明確化を求めて昨年「社長常勤化」を答申した。
それを受けて、当時社長だった矢田義太郎前村長(故人)は会長となり、専務だった清水忠夫氏が常勤の社長に就いた経緯がある。
23日発表の06年3月期決算は1400万円余りの当期赤字を計上。主力のホテル事業で約3千万円の赤字になり、収支上の黒字転換は達成できなかった。
清水前社長は結果的に就任した時の約束だった「経営責任」をとる形で、副社長に降格。取締役会でも異論はでなかったという。
ただ、同社最大の懸念材料でもある長期債務は当期だけで5200万円償還。そのうち2200万円は計画外の前倒し返済で、債務残高は5億円を割り込んでいる。
厳しさの中に光明も見え隠れするなかでの新体制となるが、当面の課題は村民の信頼回復が最優先となる。
社長非常勤を理由に経営の停滞は許されず、より一層村民の厳しい目が注がれることにもなる。
地元にありながら、価格面などから住民にとって敷居の高かった宮田観光ホテル。
「宴会や催事など、もっと安価でサービスも良ければ利用したいのに」との声は多い。
今年から住民の声を経営に活かす「サポーター会」も始まっているが、村民を・ス味方・スにする努力がより求められそうだ。