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信州流木工芸工房「きむ」
木村紀雄さん(66)

駒ケ根市赤穂北割一区菅の台

信州流木工芸工房「きむ」<br>木村紀雄さん(66)

 ランプ、花台、置物、家具、時計竏秩B朽ち果てる運命だった流木がさまざまな形に生まれ変わり、新たな命を得て息づいている。
 「落ちているだけならただの朽木。だけど拾ってきて少し手を加えれば命を吹き込むことができる。そこが魅力だね。まあ、ささやかな自然への恩返しというところかな」
 ◇ ◇
 東京生まれ。会社勤務を経て退職後「駒ケ池に逆さに映った宝剣岳の素晴らしさに魅せられて竏秩v終(つい)のすみかと決めた駒ケ根に2年前移り住んだ。
 ある日、太田切川の川原に落ちている流木を見て「面白い形の木があるもんだなあ」と思って家に持ち帰り、興味を持ってインターネットで「流木」をキーワードに検索したところ「流木工芸教えます」のサイトが目に留まった。
 「子どものころから絵や工芸はまったく駄目。木工に少し興味がある程度だったが、流木にはなぜか強くひかれるものを感じた」早速申し込み、1週間の個人指導を受けた。
 その後は暇さえあれば流木を拾って来ては制作に取り組んだ。
 「何を作ろうと思って探しに行くのではなく、川原で面白いと思った流木を拾って来て家で一日中眺める。長い時には半年もじっと見ているだけ。そうすると、どんな物にしようかだんだん構想が決まってくる。何しろ同じ物は二つとないからね」
 腐ったり傷ついた部分を取り除き、自作の竹べらで皮をむいてサンダーなどで形を整える。耐水ペーパーで磨いて乾かしたら仕上げにかかる。ニスなどは使わず、ガラスや竹べらなどを使って磨く根気の要る作業だ。
 「こうすることで自然のつやが出る。できるだけ元のままの味を損なわないようにしたいから」
 ◇ ◇
 昨年自宅に工房を構え、本格的に制作に打ちこんでいる。当初困ったのは値のつけ方。
 「もともとそんなつもりで作り始めたんじゃないし、ほとんど原価がないようなもんだからね。ついつい安くしちゃうんだよ。でも『あんまり安くしてはいけない。売ることで責任や張り合いが生まれ、もっと良い作品ができるんだから竏秩xと助言してくれる人もいたから、ああそうかなと思ってね」
 「これに出合ってなかったら毎日いったい何をやっていたかね。何もしていなかったかもしれないな。今は一日1回でも木に触らないといられないくらい。本当に楽しいよ。これからも機会をみて展示会を開いていきたいね」
 (白鳥文男)

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