ミレット復活事業開始
健康効果が見直される中、市場価値・需要が高まる雑穀(ミレット)の栽培を復活させ、中山間地の振興を図ろう竏窒ニ1日、信州大学農学部の井上直人教授と、食を通じた豊かな地域づくりを目指すNPO法人・南アルプス食と暮らしの研究舎による「ミレット復活事業」がはじまった。この日は、長野県の周辺で栽培されている雑穀など19種の苗を伊那市長谷のほ場に移植=写真。今後は、地元農家が中心となって、この地に最も適した育種を選定するほか、シンポジウムなどの開催により地元への啓蒙活動を展開していく。在来種の復活を目指す事業は、全国的にも初めてだという。
作業に参加したのは井上教授のゼミ生やNPOのメンバー、地元農家など約20人。
30年来雑穀の研究に取り組んでいる井上教授は、これまでも雑穀の有用性を訴えてきたが、マイナスイメージの強い田舎ではなかなか普及しなかった。しかし、都会などで関心が高まる中、地域でも関心を示す人が現れ、今回事業化することとなった。共に事業を進める吉田洋介さんは、長谷の道の駅でレストラン「野のもの」を経営しており、収穫した雑穀を使ったメニューの開発も進めてく予定でいる。
ミレットは痩せた土地でも育ち、農薬を使用しないため環境負荷も少ない。また、栽培方法の改良により労働負担を軽減することも可能になるという。
井上教授は「地元財産を復活させ、へき地から雑穀の有用性を発信していきたい」と語る。