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レストランバー「R330」店長 田中康夫さん(31)

地元を愛する人が集まる店を

レストランバー「R330」店長 田中康夫さん(31)

 12日午後10時。サッカーのワールドカップ「2006ドイツ大会」の日本戦を観戦しようと、200インチの大型スクリーンの前に、満席となる約50人の利用客が集まった。
 日本代表が先制ゴールを決めると、店内は歓喜に沸いた。ユニホームを着た観客らは、太鼓やタンバリンを鳴らして応援。一つの目的のために他人同士が集まり、同じ共有スペースの中で楽しむ…。そんな店づくりを目指している。
 ◇ ◇
 2002年の冬、伊那市西春近の国道153号線近くに、レストランバー「R330」をオープン。大型スクリーンでオリンピックなどのスポーツの祭典や、ミュージックビデオを放映し、料理や酒に舌鼓を打つ。個室がある居酒屋ではなく、一つの店(=箱)の中で、利用客が一体となれる空間だ。
 ◇ ◇
 中学生時代から自分の店を構えようと考えていた。「25歳までには店を持とう」と目標を立て高校卒業後、大阪や東京などの居酒屋やバーで働きながら資金集め。しかし、漠然と過ごす都会暮しに嫌気が差し、新境地・沖縄で生活を始めた。
 ここでの3年間で、自分の方向性を決めた。見るものすべてが新しく、刺激が多かったと振り返る。理想とする「店」の形にも巡り会えた。
 「沖縄の人たちは基本的にお酒が好きで、地元のことを愛している優しい人ばかり。長野県の人が大学や就職のために外へ出ていっても、帰ってきたくなるような店を持ちたかった」
 1999年、24歳の夏に帰郷し、その年の秋にバー「Blue Juice(ブルージュース)」を開店。そして、3年後に2号店「R330」をオープンした。
 ◇ ◇
 理想の店は自らがつくり出していくものではないという。
 「自分は一つの箱を作っただけ。お客さんが、この箱をうまく使って、楽しんでくれればよい。自分でも思いつかなかったことを、お客さんたちがつくり出してくれれば」
 地元に帰ったら、またあの店で会おうね竏窒ニ思える店。何か新しいものつくり出すのではなく、場所をいかに守れるかを考えることが必然という。場所を提供し続けることが、地元を愛する人たちの集まる店をつくり、地域の活性化につながると信じている。
 「店の照明に人が集まるのではなく、店内で楽しんでいる一人ひとりのオーラが、違うお客さんを呼んでくれる。楽しいことは、お客さんが与えてくれるはず」

レストランバー「R330」店長 田中康夫さん(31)

◆レストランバー「R330」◆
○住所 伊那市西春近2701‐2
○営業時間 平日・日曜日 午後5時30分縲恁゚前0時(金・土曜日は午前1時まで)
○定休日 毎週木曜日、第2水曜日
○TEL 76・2240

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