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304/(火)

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JA上伊那、処理不可能乳の解消を目的に子牛用飼料として全粉乳を酪農家が買い戻す取り組みを実施

 牛乳や乳製品の需要減少に伴う処理不能乳の発生を緩和するため上伊那農業協同組合(JA上伊那)と同酪農部会はこのほど、余剰生乳を飼育用全粉乳として酪農家に買い戻させた。
 年々減少の一途をたどってきた生乳需要だが、乳製品に加工するなど、さまざまな企業努力で乗り切ってきた。しかし、ここへ来て一気に4%前後の需要が落ち込んだことと、学校給食のなくなる年度末が重なり処理不可能乳が発生。そこで、酪農家それぞれの出荷量に応じて処理不可能乳でつくった全粉乳を飼育用に買い戻してもらうという苦肉の策を講じた。
 学校が始まった現在は、需要が回復しているが、夏の長期休業中は再度処理不可能乳が多くなることも考えられるという。
 JA上伊那の担当職員は「牛乳は太る、骨が太くなるなど、誤った情報から、お茶や清涼飲料を好んで飲む人が増えている。風潮に踊らされず、重要な成長期にある子どもには牛乳を飲ませてあげてほしい」と話す。
 処理不可能乳の増加により、最も懸念されるのは生産調整の問題。近隣4県でつくる東海酪農協同組合連合会の一員である長野県の場合、連合の割り当て分を更に地域へと落としていくことになる。現状では生産調整はまったくかかっていない。しかし、消費減少、高齢化に伴う飼育頭数の減少が続く中、生産調整がかかれば、それぞれの酪農家に何らかの影響がでることも懸念される。
 JA上伊那は、東海酪連の割り当てられた余剰分バターの消費拡大として、生産者やJA役職員が購入する取り組みを始めている。しかし、一般消費者の需要減少は、全国規模の問題であり、抜本的な問題解決には混迷を極めている。

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