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英語弁論大会でモンゴルのことを語り全国大会出場権を手にした
上伊那農業高校生物工学科2年
伊那市美篶
御子柴すみれさん(16)

英語弁論大会でモンゴルのことを語り全国大会出場権を手にした<br>上伊那農業高校生物工学科2年<br>伊那市美篶<br>御子柴すみれさん(16)

 今、モンゴルの人の半分は遊牧生活をやめ、都市へと移り住むことを選んでいます。しかし、都会の方が本当に楽しいのでしょうか。どうして彼らは何千年も続けてきた遊牧生活をやめなくてはならないのでしょうか竏秩B
 6月23日、上伊那農業高校で開かれた第26回英語弁論大会の長野県予選で、モンゴルでの経験から感じた思いを英語で聴衆に訴え、見事全国大会への切符を手にした。昨年も出場したが、惜しくも最優秀賞を逃した。その悔しさも後押しし、膨大な思いを制限時間内で話せるよう、しっかりと文章を練り込んだ。原稿ができたのは本番の約1週間前。そこからスピーチを必死で練習し、なんとか本番に間に合わせた。「いろんな先生方がすごく熱心に指導してくれたおかげです」と笑みを浮かべる。
 ◇ ◇
 「スーホの白い馬」を読んで以来、憧れていたモンゴルを初めて訪れたのは中3の夏休み。大草原を駆け抜ける馬、長年引き継がれてきた遊牧生活への期待を胸に、首都・ウランバートルに到着。そこには想像を超えた世界が広がっていた。高層ビル、コンビニエンスストア、何の不自由もない都市の生活竏秩B衝撃を受けた。しかし、最も衝撃的だったのは自分とあまり年の変わらない子どもが、物乞いをしている姿だった。モンゴル最大のデパートを訪れた時、親を無くしマンホールで生活する“マンホールチルドレン”と呼ばれる子どもたちが物乞いをしていた。何かしてあげたい気持ちはあった。しかし通訳に「きりがないから」と止められた。テレビの中でしか見たことのない世界を目の当たりにし、自分の置かれた環境の豊さを思い知る。
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 その後、遊牧民の生活を体験するために都市部からはなれたボルノール村へ。そこでは、母親・モギーをはじめとする大家族のゲルに泊り込み、仕事を手伝いながら共に生活を送った。「言葉が通じないことが最初は不安だったけど、簡単な英語は伝わったし、ほとんどはジェスチャーで伝わって。言葉は通じないのにコミュニケーションがとれるのは楽しかった」。他人の子、自分の子という分け隔てはなく、一家の周りには当たり前のように多くの子どもが集まっていた。
 ものすごく寒い夜があった。その日はほとんど眠ることができなかったが「寒かった」ということは言わなかった。しかし次の日、モギーは一枚の毛布を持って、そっと掛けてくれた。人の温かさが溢れた生活。物質的な豊かさはない。しかし、厳しい自然環境が人の絆を一層強くしているんだ竏秩B強い感動した。
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 「私自身、都会への憧れがあったりするから、モンゴルの人が都会の生活へと移っていくのも分かる。でも、マンホールチルドレンや黒い煙、ゴミの山を生む都市の生活と、無駄が無く人の温かさがある遊牧生活、どちらが本当に幸せなんだろうって思う。豊かさを求めすぎた結果、その国の文化が消えていってしまうのは寂しい。そう思うんです」。

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