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304/(火)

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マツクイムシの新たな防除方法の実験進む

 拡大の一途をたどる松くい虫被害。新たな防除対策として県は「誘導抵抗性林分の造成」という研究をしている。毒性の弱いマツノザイセンチュウを健全な松に事前接種して免疫をつくり、松枯れを防ごうとする手段で、これまでの予防方法の一つ、薬剤の樹幹注入に比べ、樹木1本当たりにかかる費用を半分以下に抑えられるため、効果への期待も高まっている。
 空中散布による防除に変わる手段を模索してきた長野県で、弱毒性のセンチュウの接種により抵抗性が誘導されることが紹介されたのは04年。上伊那ではその翌年から、実際の松林を使った実証実験をしている。 
 場所は飯島町日曽利、駒ヶ根市東伊那にある被害地区の一部で、昨年度は約100本、本年度は約260本に接種。センチュウを媒介するマツノマダラカミキリは風の通り道ができる河川、道路沿いを風に乗って北上する傾向にあるため、カミキリの飛来しやすい風上の林縁部に接種し、その奥の樹木を守る防護帯としての役割も検証している。
 飯島町日曽利の場合、昨年8月の段階では接種したマツに影響はなかったが、10月には3本の枯損を確認。最近の状況を調査した関係者の話では、接種した樹木の枯損がわずかながら増えていたが、接種しなかった部分では被害拡大が明確であったのに対し、接種部分では被害の拡大が少なかった。
 しかし、実験はまだ途中の段階であり、効果に継続性があるかどうかは結果を待たなければ分からない。今後県は、08年度まで実験を続け、手段の有効性を検証していく。

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