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【壮年ソフト最年長選手 田中勝美さん(81)】

駒ケ根市北割一区

【壮年ソフト最年長選手 田中勝美さん(81)】

 大正14年生まれ。駒ケ根市の壮年ソフトボールリーグの登録選手中最年長だ。
 「年が一回りも違う若い人たちに交じってソフトをするのは楽しいよ。キャッチボールやバッティング練習だけでも十分楽しいが、試合はもっと楽しいね。守備はセカンドだ。時々ライナーが飛んで来るとね、バシッと取る。そうするとみんながファインプレーだ、と言って褒めてくれるから余計張り合いがあるよ」
 ソフトだけでなく、マレットゴルフ、ゲートボールもしょっちゅう楽しむほか、時折弓も引く。
 「腰も脚も、体のどこも痛い所はない。肩も凝らないよ。元気の秘訣? そうだな、常に体のことを意識して健康づくりに心掛けていることかな」
 朝、起き際に寝床で腹筋と背筋の運動。日中は畑仕事や庭木の手入れに精を出す。合間にはたっぷりと柔軟体操。疲れを癒す風呂の中では体中の関節をぐるぐると回してほぐす竏秩B
 「常にじっとしていないこと。酷使するようだが、体を動かし続けることが大切なんだ」
 ◇ ◇
 飯田の農家に12人きょうだいの4番目として生まれた。17歳で父を失い、家の仕事すべてが両肩に重くのしかかってきた。兄たちはすでに兵隊に取られて遠い戦地で戦っていたが、折りしも太平洋戦争末期。自身も繰り上げで召集を受けた。しかし3カ月で終戦。無事帰郷はしたが、家族が食べるのもやっとという苦しい生活の中で、進学する弟たちの学費を捻出するため、死に物狂いで働いた。農繁期は野良仕事。冬場は近くの現場で石や土を運ぶ重労働に明け暮れた。
 「あのころは本当に苦しかった。だが今にして思えばあれで体が鍛えられたんだ。人間、ちょっと無理するくらいの方がいいのかもしれない」
 強い気性の一方、慎重な性分でもあり、物事にはじっくりと取り組む。
 「例えば庭木の手入れに使う脚立は3本脚の物だ。4本脚より安定しているからね。登るのは何度も何度もゆすって絶対に倒れないことを確かめてから。それと重い物を持つ時だ。腰を落とし、腹にぐっと引き寄せて体全体で持つ竏秩B何でも甘く見ちゃいかん」
 「野球は昔から好きだったが、若いころは働くばかりでそれどころじゃなかった。だから今懸命にやるのかもしれないな。何しろ健康に勝る宝はない。何はなくとも健康が一番だよ」
 (白鳥文男)

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