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中川東小学校2年生(原正彦教諭、32人)

すべりやま、そしてブナへ

中川東小学校2年生(原正彦教諭、32人)

 中川村の中川東小学校2年生(原正彦教諭、32人)は5月下旬に、生活科の学習で村内の陣馬形、沢入山の樹齢600年の丸尾のブナの巨木に会ってきた。
 陣馬形林道沿いでマイクロバスを下りた児童らは山道を登っていくとブナの木が見えてきた。樹高14・5メートル、目通り6・45メートル、東西22メートル、南北20メートルと枝を広げたブナの巨木に対面。「わあーっ、大きい」「でかい」「すごいなー」「めちゃすごい」と感動。幹を観察し「こぶだ、こぶがある」「小さなブナの赤ちゃんもある」と大喜び。
 中には「名前が彫ってある」と、ナイフで傷つけられた跡を発見した子どももいた。
 子どもたちの1番の関心事だった太さ調べもした。なんと9人が手をつないで、ようやく一周取り囲むことができた。
 森の中で、吹きぬける風の音、ウグイスの鳴き声、そして、ブナの命の音に耳を澄まし、子どもたちはなにものにも替え難い、至福の時を共有した。
 この感動は画用紙を何枚も継ぎ足して、ブナを写生した絵に、みんなで作った「ぶなの木さんの歌」に素直に表現された。歌詞は「ろっぴゃくさいのぶなのきさーん。でっかいでっかいでなのきさーん、ぶなのきさんはむかしからずっとずっといきている:」と続く。2日の音楽会で全校に披露された。
 ◇◇
 昨年4月入学した子どもたちは、生き物が好きで、体を動かすことが好き。学校から歩いて15分の標高680メートルの通称すべり山に行き、斜面を滑って遊んだり、探検ごっこもした。キノコも探したが、ほとんど毒キノコだったとか。
 2年生になった子どもたち。昨年はすべり山でキノコが採れなかったことから「すべり山にキノコの菌を植えれば、すごいことになる」とキノコ山プロジェクトが始動。ナメコ、クリタケ、シイタケの菌を植えた。
 また、1年生の冬から、今村葦子作の「ぶな森のキッキ」シリーズを読み進める中で、中川村にも大きなブナの木があることを知り「ブナに会いに行きたい」と、観察会を計画した。
 このブナは1469年、丸尾村の宮沢播磨源宗良が、御神木と定め、根元にほこらを建立し、諏訪神社からなぎかまのご神体を受け祭った。00年4月に村の天然記念物に指定された。
 原教諭は「子どもたちは真剣にブナと向き合い、600歳のブナに言葉にならない驚きと、威厳を感じた。ブナの観察会を終えて、子どもたちは今まで、気に留めなかったほかの木にも、草にも目を向けるようになった」。
 「子どもたちは『夏の暑い時はぶなさんは何をしているのだろう。今度はなにかもっていってあげたい』といっている。『秋にはどんな実がつくだろうか』とも。足しげく通うことで、見えてくることもあるかもしれない」と原教諭は期待する。近々、同クラスはお土産を持ってブナの木に会いに行くようだ。(大口国江)

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