宮田村も豪雨被害で浄水場に土砂流入
18日から19日の梅雨前線による豪雨は、宮田村にも甚大な影響を及ぼした。村内各所で水があふれ、5つの小河川が氾濫(はんらん)して土砂が流出。新田区の上の宮浄水場、天竜川漁協の養魚場に被害が出た。北割区では1人が自主避難。土石流警戒の体制も続き、消防団、村職員らが徹夜で監視した。中越区下河原では9・5ヘクタールが冠水し、水田が水没。幸い家屋、人的被害はないが、住民は眠れぬ夜を過ごした。
唐松沢の増水により19日午前5時ころ、村内約3割の水をまかなう上の宮浄水場は大量の石や泥で埋まった。
同日午後3時過ぎには現場で鉄砲水が発生。当時10人ほどが復旧作業にあたっていたが、危うく難を逃れた。
他の水源に切り替えて住民生活への支障はないが、広域水道に増量供給を要請。水が引くまでは復旧は難しいと担当者は話した。
伊那市境の中越区下河原は、天竜川に流れ込む堂沢川が逆流し、同日午前7時頃には一帯が完全に水没。
関係者は「この状態では稲はダメだろう」、様子を見にきた女性は「こんな状態になるなんて」と絶句した。
大久保区前河原でも0・2ヘクタールの水田が冠水した。
長坂沢、真米沢、全昌寺沢と3つの河川で土砂が流出した北割区は、18日夜から区集落センターに対策本部を設置。土石流の危険が高い源ケ洞沢の警戒にもあたった。
避難勧告が出た場合に備えて、同日午後8時40分過ぎに各班長を召集。早めの準備を徹底した。
長坂沢の氾濫が激しくなったのは19日午前7時半頃。人家の前の道路が完全に泥の川となった。
「それまでも水は流れていたが、ゴォーゴォーと音がして、急に泥水になった」と集落センターに自主避難した男性は話した。
桐ノ木沢から流出した土砂は、天竜川漁協のマス養魚場を直撃。18日午後7時頃には施設入口付近の通路が冠水。養殖池にも泥や石が入り、復旧作業は19日午後も続いた。
マスは9月からの採卵に向け、体力をつけている時期。「これだけ濁りが入ったら、被害は出るだろう」と職員は腕を組んだ。
宮田村は18日午後7時に警戒対策本部を設置し、係長以上を召集。午後11時に班体制を組み、消防団とともに夜通し警戒した。