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県知事選 村井氏上伊那では辛勝

市町村長との関係修復に期待も

 任期満了に伴う知事選は6日投票が行われ、即日開票の結果、新人で前自民党衆院議員の村井仁氏(69)=無所属、長野市=が現職の田中康夫氏(50)=同、北佐久郡軽井沢=に7万8千票余の差をつけて初当選した。投票率は65・98%。上伊那地域では、伊那市が前回を10ポイント近く下回る67・84%、駒ケ根市70・20%(前回77・18%)、6町村71・43%(同79・66%)だった。
 今回の選挙では、南信地域で田中氏が強いとの下馬評があったが、ふたを開けてみると、上伊那では4町村で田中票が村井票を上回り、町村分の合計だけでみると田中氏が村井氏に1700票の差をつけている。伊那、駒ヶ根両市では村井票が上回ったが、8市町村合計で両氏の差はわずか168票(村井氏5万2555票、田中氏5万2387票)だった。
 選挙戦を通じ、村井氏は2期6年続いた田中県政の手法に異論を唱え、伊那市の個人演説会や飯田市の合同演説会では「自分の理念を県民に押し付ける」「県や知事が独断ですべてを決めている」などと田中氏を批判。「市町村、市町村議会の声を聞く仕組みをつくる」として、市町村との関係修復を約束した。また「基礎自治体の権限責任を強くするため県がサポートする」として、地方への権限委譲を訴えた。
 これまでゆがんでいた市町村長らと県との関係が村井氏の登場で修復されることになりそうだ。
 今回選でもう一つの大きな争点となった防災については、飯田市で開いた合同個人演説会で両候補が真っ向から対決。告示直前に南信地区で発生した豪雨災害が論争をさらに激しいものにした。
 村井氏は「砂防ダムを入れたところは地滑りなど見事に止まる」などとして、ダムによる治山治水の必要性を主張。それに対し田中氏は、コンクリートの耐用年度とも絡め、財源の手当てなどに関する旧来の手法に疑問を示した。
 村井氏の当選で、田中氏が進めてきた、森林整備など砂防ダムだけに頼らない防災施策は転向を余儀なくされそうだが、「支出は資産形成を考えれば悪いことではない。起債しても資産として残る」(飯田市での合同個人演説会)とする村井氏の手法が今後の県財政にどのように影響するか、有権者は先を見通した目で監視を続けていく必要がありそうだ。

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