富県公民館長 伊藤恒良さん(70) 伊那市富県
信州高遠の四季展・洋画の金賞受賞 一生表現し続けたい
伊那市高遠町の風景などをテーマに全国公募した絵画展、第3回信州高遠の四季展で、作品「押出待春」(20号)が洋画の金賞を受賞した。応募総数は日本画と合わせて522点(内・洋画442点)。同展初出品で、全国公募の中から選ばれたことに自分でも驚いている。
「まったく瓢箪(ひょうたん)から駒」竏秩B・ス知人からの呼び掛けで出品した・スというのが裏話だ。
会派・一水会に所属、絵は高校時代から描き続けている。美術教師として、小中学校では教べんをとり、現在は地元公民館の館長。自分は洋画家でもなく、画業一筋のプロでもない。趣味でやってきたことだという。
「賞を取るつもりもなくて出したので、自分が一番ビックリしている。これからは金賞に恥じない絵を描いていきたい」
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高校の美術クラブの顧問、故・伊藤眞ノ助氏との出合いが・ス絵への道・スを開いた。恩師の熱心な指導で、大学へ進学し、教師に。高遠小学校の校長を最後に、38年間の教員生活で、美術を通して子供たちの個性を育ててきた。
絵を描くことは自分の自己表現。国語、数学、社会などは理解力を養うが、美術は個性を表現できる教科だという。
「その子らしさが(絵の中に)出てきた時はうれしかった。自己表現ができる子どもを育てることが、38年間一貫してきたことだから」
公民館長として6年目。自分の特技を生かし、仕事の一環で公民館講座「水彩教室」の講師も務める。富県の皆さんがボケずに、いきいきとのびのび暮すための支援ができれば竏窒ニいうのが願いだ。
「個性を伸ばし、自分の趣味を持ってもらいたい。脳の活性化にもつながる」
高校時代から続けてきた・ス絵を描くこと・スは、次代を担う子供たち、地域住民の手助けになっている。
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「描くことは生活の中の一部ではあるが、売って生計を立てようという考えはない。ボケないための一つの手段だし、趣味として好きなことなので、死ぬまで続けていきたいね」
近年は仕事が忙しく、作品の制作数が減ってきているという。
しかし、公職を辞めてからは「いい仕事をやってみたいな(力作を描くこと)」と意欲に燃えている。
自分にとって絵とは個性を表現すること。死ぬまでの一生を表現者でいたいという気持ちは強い。
※「第3回信州高遠の四季展」の入賞作品は信州高遠美術館、そのほか入選作品は町内の公共施設や商店に8月5日から9月24日まで展示