8月から伊那に赴任した県国際交流員
ジョアン・ゴーリーさん(22)
伊那はきれいでかわいい街ですね
「せっかくここに来たんだから、伊那や信州をすみずみまで体験して回りたいです」
流暢(りゅうちょう)な日本語で話す。透き通るような美しい青い眼だ。
県の国際交流員。各種イベントや語学指導を通じて地域における国際交流の促進を図る。多文化理解講座・その国の言葉で読む世界の絵本・世界の家庭料理など盛りだくさんの活動だ。
8月3日から伊那に。前任のブライアン・ロー氏に代わり、上伊那地方事務所を拠点に活動する。任期は1縲・年がめどで、まだ確定していない。
「着いた早々いろいろなことを体験させてもらったんですよ」
6日の伊那踊りでは合庁連のしんがりをハッピを着て歩いた。「踊り方がまったくわからないのに、引っ張り出されて、見ようみまねで体を動かしながら歩いただけですよ」と笑う。
名物ローメンも食した。「味にクセがある」けれど、「美味しかった」という。馬刺しも食べた。「母国では馬は食べ物ではないんですよ。だから、もうビックリ仰天。でも味はオッケー。好きになりそうです」と話す。
母国はニュージーランド。南島の40万人都市クライストチャーチ市に生まれて育った。日本人の留学生も多い環境で、15歳から日本語を学習。00年に愛知県岡崎市に留学し、英語学習の手伝いなどをした。03年には大学の交換プログラムで埼玉県越谷市の文教大学に1年間留学。「景色も、食べ物も、人柄も、日本が大好きなんです」という。
岡崎市や越谷市に比べて伊那市は「のんびりした感じ」。ニュージーランドものんびりしたところだが、それ以上の感覚を覚えるそうだ。「街がこじんまりとしていてかわいい。それにきれい。家族で経営している商店が多いみたいで、とてもフレンドリー」と印象を語る。
市内の官舎から通うが、最初、道がわからずうろうろしていると、通りすがりの人があれこれと道を教えてくれた。そんなことにいたく感激している。
県職員として働くわけだが、仕事の上では、時間に正確に仕事をすることと、上下関係がはっきりしていることに驚いているという。特に上下の関係で「日本語まで変わること」。
「英語では少し変るだけなんですけど、日本語の敬語は言い方まで大きく変わるでしょ。留学していた時には学生だったからあまり気にしなかったけど、今度は仕事ですからね。相手に失礼なことはできないですしね」
こんなところからじつは国際交流・異文化体験は始まるのかもしれない。
「やれることは何でもやってみたい」というジョアン。ニュージーランド育ちの若い視点で、伊那谷の人々にも「新しい発見」をもたらしてくれることだろう。