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たかずやの里の栄養士
南箕輪村南殿
清水衛さん(26)

たかずやの里の栄養士<br>南箕輪村南殿<br>清水衛さん(26)

 もっと時間が遅く進めばいいのにって思うほど、本当に楽しくって竏秩B
 伊那市富県の児童養護施設「たかずやの里」で栄養士として働き始めて2年が経過した。献立を作る時は、栄養バランスや摂取カロリーを考慮しながら、野菜や豆類をなるべく多く取り入れている。料理に使う野菜は出来るだけ地元で調達。「地域にあるものを地域で食べるのは自然だし、安全で新鮮。しかも安いしね」。
 短大で栄養士の資格を取得したが、卒業した当時は栄養士の求人がなく、全く別の職場に就職した。どんな仕事も3年は続けてみよう竏窒ニ、3年間を勤務したが「やりたいことをするなら今しかない」と一念発起。栄養士として働ける職場を探していたところ、たかずやの里に巡り会った。「3年も現場から離れていたから、最初はどうしていいのか分からなくて、3食の献立を考えるのも大変だった。お代わりが残ると『おいしかったのかな』って不安になったりしたけど、『おいしい』っていってもらえると嬉しくて。この2年で献立を作るのもだいぶうまくなったね」。

 ◇ ◇
 たかずやの里では、単に栄養士として働くだけでなく、子どもたちのサポート役を担うことも求められた。寝食を共にし、旅行や運動会など、施設で行うさまざまなイベントに、子どもの家族として参加する。気付くと、自分が子どもの時に経験してきたことを、今度は親として子どもたちと経験し、その成長を見守ることに喜びを感じていた。
 自分たちにしか出来ないものを味わってほしい竏窒ニ、オリジナルメニューづくりやルーからつくる手作りカレーにも挑戦している。しかし、子どもたちの趣向は十人十色。好きな料理や味付けはそれぞれで、なかなか全員がおいしいという味をつくるのは難しい。「自分がうまいって思った料理でも『あまりおいしくない』って言われれば、へこむ。難しいのかもしれないけど、目標は全員がおいしいっていうカレー」。
 一方、自分の料理で苦手なものを克服する子もいる。カボチャが苦手だった一人の女の子は、ある日の料理を食べて「私カボチャ嫌いだけど、これなら食べられる」と言ってくれた。子どももその子なりにがんばっていて、食べられるようになっていくんだ竏秩B嬉しかった。
 ◇ ◇
 2年間は作ることに精一杯だったが、これからは子どもたちに食べ物が体に及ぼす効能を教えてあげたり、朝ご飯を食べない子どもたちに朝ご飯を食べてもらう工夫をしていきたいと考えている。
 「自分の作ったご飯を食べて大きくなっていく子どもたちを見ていられるのは嬉しいけど、そのご飯で好き嫌いも決まってしまうから、そういう意味での責任は大きい。でも、子どもたちにはおいしいって言ってもらいたいし喜んでほしい」

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