【記者室】休耕田と農地改革
ふと田んぼに目を向けるとたわわに実った稲穂が重く頭を垂れている。数カ月間にわたった農家の苦労が報われる稲刈りの時期だ。だが見渡す限りの黄金色竏窒ニはいかず、あちこちに穴が開いたような休耕田が目立つ▼約60年前、貧農の救済のため、政府が全国の地主から農地を強制的に安価で買い上げて小作農に譲渡する農地改革が実施された。自分の土地を得た農民は喜び勇んで働き、米の生産高は飛躍的に高まったが…▼時代の流れの中で消費者の米離れが進み、米が大量に余り始めたことから農家は一転して減反を強いられることになった。金をかけて効率化を進めたあげく、せっかく手にした農地の多くをあたら休耕田にせざるを得ないとはまったく皮肉な話だ。(白鳥記者)