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山本勘助と高遠藩のかかわりは…
高遠城址(し)を築城したと伝わる、戦国武将武田信玄に使えた軍師、山本勘助を知るための講座が26日夜、伊那市高遠町の高遠閣で始まった。来年1月までの全3回で勘助の功績、信玄や高遠藩との関わりなどを学んでゆく。
07年のNHK大河ドラマ「風林火山」の主人公として注目を浴びている山本勘助。講座を主催する高遠町観光協会は「高遠と関係のあった人物を地元の人に知ってもらいたい」と企画した。
初日は、歴史を趣味で研究する自営業の矢澤章一さん(78)=同町東高遠=の講演に市内などから約100人が参加=写真。「風林火山」の原作者井上靖の小説や、伝記「甲陽軍艦」などを元に、築城技術の腕を買われて51歳で武田家に仕官した勘助の生涯を解説した。
矢澤さんは冒頭で、記録資料の中に記述が少ない勘助を「実在の人か架空の人か分からない」と紹介。「未だに不思議な人物である」などと興味をそそらせる口調に、参加者も注意深く耳を傾けていた。
「高遠城址の秋まつり」期間中の11月16日にある、第2回講座では、信州大学人文学部の笹本正治教授が講演する。
問い合わせは、高遠町観光協会(TEL94・2552)へ。 -
伊那市高遠町で伊沢修二先生記念音楽祭
旧高遠町が排出した偉人、伊沢修二の偉業を顕彰する記念音楽祭が28日、伊那市の高遠町文化体育館であった。東京芸術大学音楽部の4年生によるオーケストラをはじめ、地元の小中学生や合唱団が出演。詰め掛けた大勢の聴衆が壮大な音楽に浸った。
伊沢修二が同大学前身の東京音楽学校初代校長を務めたことを縁に始まり、今年で第20回の節目を迎えた。
オーケストラはモーツァルト作曲の「パリ」などを奏で、会場を魅了。演奏をバックに高遠高校の合唱部と地域のコーラスグループなどでつくる合唱団がドヴォルジャーク作曲の「エイア マーテル」を披露した。
ほかに、高遠、高遠北の両小5年生による音楽劇やモノドラマ合唱、高遠中全校生徒の合唱があり、合併後初めての開催とあって、旧伊那市歌を全員で歌った。 -
「古東山道」など歩き地元の文化・歴史に触れる
伊那市の高遠町公民館講座「里山の文化を歩く講座」は22日あり、地域住民約20人が同町西部の諸町町内などを散策した。古道「古東山道」なども歩き、地元の歴史や文化のすばらしさを肌で感じた。
健康増進などを目的とした4年目の講座。町文化センターを出発した一行は、藤沢川から美篶へ流れる「六道井筋」を見ながら、昔の交通網・東山道とされる山道を登るなど約13キロを歩きながら、地元講師による解説を聞いた。
古東山道では、高遠森林(もり)クラブの稲辺謙次郎会長が「石高を増やそうと山の中で隠れて田んぼを作った」「山道を馬も歩いていたので以前は道が広かった」などと昔の里山の暮しを説明した。
「昔と比べ里山を歩く機会が減っている。健康増進のためにも自然を見ながら山歩きを楽しんでほしい」と呼び掛けもした。
諸町を一望しながら六道井筋沿いを歩く参加者 -
高遠高校で「進徳講座」 8人講師招き学ぶ
伊那市の高遠高校(福沢務校長、328人)で19日、各分野で活躍する地域の講師8人を招いた「進徳講座」があった。学年、専門コースごとに分かれ、各講師の話を聴講した。
生徒一人ひとりが目標を持って進路を切り開く手助けにする竏窒ネどの目的で開き、本年で6回目。伊那消防署消防士の飯島祐介さん、諏訪東京理科大学経営情報学部講師の井上義博さんらが学校を訪れた。
ギター製作者の大屋建さん=伊那市=は、35歳から職人の道を歩み出した自分の人生などについて講演。「いろんなものと出合うことで自分が努力したいものは見つかる。すぐに諦めるのでなく、何事も真剣に取り組むことが必要」と呼び掛けた。
手話ダンスパフォーマーの深澤美和さん=辰野町=は「歌が見えますか縲恷陂bダンスは人の心を結ぶ縲怐vと題してダンスを披露。「手話は聴覚障害者だけのものでなく、皆さんの交流の手段にもなる」とした。
1年の平澤亜由美さん(16)は「表現力の豊かさに、普通に音楽を聞くより感動が多かった。手話というと『真剣』『まじめに』との気持ちがあったが気軽に楽しめた」と感想を述べた。 -
高遠高生が東京芸大学生に合唱指導受ける
伊那市高遠町で28日に開く伊沢修二先生記念音楽祭に出演する高遠高校の合唱部と芸術コース音楽専攻の生徒約30人が18日夕、来校した東京芸術大学指揮科4年の高井優希さんから合唱曲の指導を受けた。
本番は、公募で集まった地域住民でつくる合唱団とともにドヴォルジャーク作曲の「エイア・マーテル」を混声四部で披露する。
生徒たちは、高井さんから「除々に音程が下がってしまうから注意して」「緊張感を失わないように」と発声の強弱や音程などのアドバイスを受けながら熱心に練習。音楽担当の牛山真理子教諭は「教えてもらったことを残りの日数で消化して本番に生かしたい」と話した。
音楽祭は旧高遠町出身の伊沢修二が同大学前身の東京音楽学校初代校長だったことを縁に始まった。今年は第20回の節目で、新市として初めての開催。地元の高遠、高遠北の両小学校児童の音楽劇や中学生の合唱などのほか、同大学音楽部のオーケストラによる演奏がある。 -
高遠高生が地元の陶芸家に技術学ぶ
高遠高校芸術コース美術専攻の3年生が地元の陶芸家から指導を受けて、技術を磨いている。粘土の練りから本焼きまで全20時間を予定し、オリジナル作品を作り上げる。
講師は、地元伝統の「高遠焼き」を継承する白山窯の浦野真吾さん(27)。授業を通して技術を身に付けるほかに、ものづくりの楽しさや苦労話、陶芸にかける思いを聞いて、知識や理解を深める。
練った粘土をろくろで成形し、素焼き後に釉薬をかけて本焼きするまでの一連の作業を体験し、最終日までにいくつか作品を仕上げる。
生徒たちはろくろによる成形は初めての挑戦。「微妙な力加減を保って」とアドバイスを受けると、慣れない手つきながら真剣になってろくろを回して湯のみなどに形づくっていた。
以前から陶芸に興味もっていたという馬場良一さん(17)は「実際にやってみるとなかなか難しい」と悪戦苦闘しながら夢中に取り組んでいた。
年明けに信州高遠美術館で予定している芸術コースの3年生による「卒展」に出展して成果を披露する。 -
旧高遠町が刻む歴史まとまる
旧高遠町の伊那市・長谷村との合併に伴う町制施行131周年・町村合併50年・閉町の記念誌とDVDが完成した。長い歴史を刻む城下町の数々の記憶を辿ることができる。
記念誌「高遠町のあゆみ」(A4判・104ページ)は、町のキャッチフレーズ「住んでいたい町 行ってみたい町」を添えた表紙で始まる。高遠町の四季の表情や行事、1956(昭和31)年の3町村合併に伴う高遠町の発足から今春の閉町まで50年の主な出来事を振り返る年表などのほか、地元の小中学生から80代までの地域住民が閉町に寄せたメッセージも掲載した。
「桜と歴史の城下町・高遠」と題したDVDは、1875(明治8)年の西高遠町と東高遠町の町制施行から131年の歩みを47分間にまとめた。暮らしや伝統文化を紹介した動画と、時代ごと町の出来事を追った100点の写真を映像で構成する。
記念誌とDVDは3千セット製作。近く、高遠町地域の全戸や公共施設などに配る。
記念事業実行委員会は「10年後、20年後に旧高遠町を語り合えるようなものになればありがたい」と話す。 -
高遠北小「よりよい教育環境推進協」が発足
伊那市立高遠北小学校の「よりよい教育環境推進協議会」(仮称)が発足し13日夜、同校で初会合を開いた=写真。関係団体代表者、保護者や地域住民ら約80人が出席し、地域を巻き込み子どもの安全と健全育成の向上に努めていくことを確認した。
学校区は山間地の3地区からなる広範囲の一方で、過疎化の進行や児童数の減少などで、児童の登下校時の孤立の面から防犯対策や交通安全などあらゆる課題への対応が困難な現状にあるとする。
このため、地域の各団体や住民を交えた協議会の発足により、山間の小規模校にあった課題への対策を検討するとともに、学校教育や健全育成についても考える。
会は当面、児童の登下校時の見守りや巡視巡回などをし、学校の参観日などに合わせて、総会や情報交換会を設け、地域事情を把握して課題を模索し、対策を提案し合う。
会合では会長に、学校評議員の松井教一さん=三義=を選任。各地区ごとに分散し、通学路における課題や対応を話し合った。
開会のあいさつで宇治正隆校長は「子どもを取り巻く教育環境は大きく変ぼうしてきている」と、昨今の子どもがかかわる凶悪犯罪の多発化に触れ、子どもの安全確保などに協力を求めた。 -
浦国有林で国有林視察ツアー
伊那市長谷の浦国有林で16日、三峰川流域国有林視察ツアーがあった。一般や伊那市の行政関係者など約30人が参加。ここにしか自生しない貴重な植物や独特の地形について学んだり、現在治水工事の行われている荒川流域などを訪れた。南信森林管理署主催。
旧長谷村には、県内国有林の約30%が存在しているが、旧伊那市や旧高遠町の住民にはなじみが薄い。そこで、視察を通して地域住民に地域の森林への理解を促し、今後の活動や市政に役立ててもらおう竏窒ニ、林内が色付く季節に合わせて今回の視察ツアーを初企画した。
参加者は、美しく色付いた紅葉に目を奪われながら森林内を散策。この地に落ち延びた平家と関係した巫女(みこ)が身を投げたとされる「巫女淵」を見たり、八ヶ岳や南アルプスの一部にしか見られない絶滅危惧種・ヒメバラモミや、固有種・トダイハハコなどについて学んだ。
参加者の中には、昔この地に住んでいたという人もおり、「昔はこの辺にふちがあった」などと話しながら、散策を楽しんでいた。 -
もっと輝け!中小企業(1)
上伊那で輝いている中小企業経営者の・ス元気・スの秘訣を探り、地域産業の活性化に結び付けよう竏窒ニ、03年4月から05年3月まで「上伊那・輝く!経営者キャンペーン」が展開された。産学官でつくる推進委員会(委員長=三井貞明元養命酒工場長)が中心となり、2年間のキャンペーン期間中に、約100人の「輝く経営者」を伊那毎日新聞紙面やケーブルテレビ3局を通じて紹介するとともに、シンポジウムや表彰式、ミニ見本市などを開催。元気でユニークな経営者たちの経営手法、経営理念などに学び、上伊那および信州の産業のあるべき姿、進むべき道を探ってきた。
同キャンペーンの背景には、県内企業の経営者や県知事らによる「信州ものづくり産業戦略会議」が02年に発表した提言や、上伊那の産学官でつくる「上伊那地域の新しい産業像及び振興策調査研究委員会」の提言があった。
両提言は「健康・福祉」「環境」「教育」にリンクした信州らしい「製造業」「観光(商業)」「農林業」のあり方や、「上伊那の地域特性」に沿った産業振興を強調。
「上伊那・輝く!経営者キャンペーン」はこれらの提言の有効性を証明する結果にもつながり、各層各界の注目を集めた。
このキャンペーンの・ス果実・スを多くの人々に還元しようと、伊那毎日新聞社はこのほど、キャンペーンで紹介した元気な経営者約100人を一挙に掲載した書籍「信州伊那谷からの挑戦」を「いなまい叢書」第2弾として発刊した。
この本に登場する経営者たちの「元気」の秘訣を産学官それぞれの立場から裏付けてもらい、改めて上伊那の産業モデルをさぐってみる。 -
リュシオール優勝 上伊那ママさんバレー
上伊那家庭婦人バレーボール連盟(大野いすず会長)主催のママさんバレー大会が8日、伊那市の高遠町文化体育館などであった=写真。
15チーム、約90人が参加し、3、4チームずつの組に分かれ、それぞれが2試合を戦い、得失点差で競った。
結果は次の通り。
(1)リュシオール(辰野町)(2)空木(駒ヶ根市)(3)どんぐり(飯島町)(4)なかがわ(中川村)(5)マザーズ(伊那市) -
高遠高校で恒例の強歩大会
高遠高校で7日、恒例の強歩大会があり、生徒たちが里山を抜ける過酷なコースに挑んだ。
伊那市高遠町の学校を発着に、男子は長谷の非持山を通り、高遠町荊口の赤坂で折り返し。宮原から国道152号に抜け、中条集会所へ迂(う)回して戻る30キロ、女子は宮原で折り返す24キロ。 生徒たちは首にかけたタオルで汗を何度もぬぐいながら起伏の激しいコースを走ったり、歩いたりを繰り返して必死にゴールを目指した。ゴール後は保護者らが用意した豚汁を味わって、疲れ果てた体を休めた。
同校によると、強歩大会の初開催は1962(昭和37)年、「旧藩時代の先哲、坂本天山が門下生を駆けさせた」とされる、男子は杖突峠を越え、岡谷市の釜口水門から辰野、伊那を通る80キロ、女子は杖突峠登り口までの往復30キロがコースだった。71(昭和46)年から恒例行事として続けている。 -
国立信州高遠青少年自然の家「自然の祭典」開催
伊那市高遠町の国立信州高遠青少年自然の家で7日、施設を一般に開放し、さまざまな自然体験を提供する「自然の祭典」が3日間の日程で始まった。初日は県内外から66家族221人が参加し、創作や伝承遊び、自然観察などを楽しんだ。
施設の特色を生かした全活動内容を体験できる年1回の恒例行事。祭典を通して、自然体験活動への関心を高めてもらう狙い。
動植物や昆虫の自然観察、竹笛や竹とんぼの伝承遊び、木工や押し花絵、籐細工の創作、ソバ打ちや五平もち作りの生活体験などのほか、きのこ狩りといった季節限定の体験活動も盛り込み、参加者は自由に選択できる。
手づくりの創作や伝承遊びでは、子どもはもちろん、保護者も童心に返ったように夢中になって取り組み、普段味わえない体験を満喫していた。
家族4人で参加した東京都の大木順一さん(48)は「日常では、ものづくりや自然との触れ合いはなかなかできない。いろいろなことがいっぺんに体験できるし、子どもには良い経験になっていると思う」と話していた。 -
ICT杯マレットゴルフ大会 80人で熱戦展開
第12回伊那ケーブルテレビ杯争奪マレットゴルフ大会が30日、伊那市高遠町の「花の丘マレットゴルフ場」であった=写真。同ケーブル放送エリア内の同市、箕輪町、南箕輪村から愛好者約80人が集まり、さわやかな秋空の下でプレーを楽しんだ。
参加者は「月蔵」「三峰」コースの計36ホール(パー144)で競技した。紅葉し始めた桜の木の下、深まりゆく秋の1日を満喫。仲間の好プレーに歓声をあげるなど、和気あいあいとした中で交流も深めていた。
加入者サービスの一環ではじまった恒例大会で、会場はエリア内の自治体を順番に回って開いている。同マレットゴルフ場での開催は初めて。大会の様子は録画放送されるため、毎年、参加者らは張りきってプレーしている。
今大会の模様は10月4日午後10時から、1チャンネルで放映する。
結果は次の通り(同打数の場合は年齢順で順位を決定)。
(1)大沢昭人(伊那市)104(2)浅野八重子(同)104(3)井上治男(同)109(4)伊東武彦(同)109(5)藤沢巻臣(南箕輪村)110(6)北原久(伊那市)111(7)米山博康(同)113(8)清水利夫(同)113(9)小沢恒二郎(同)113(10)藤沢幸雄(箕輪町)113 -
高遠高校福祉コース2年生 赤ちゃん抱っこ体験
伊那市の高遠高校2年福祉コースの生徒15人が20日、高遠町の保健センターであった乳児3カ月定期診断で、「だっこ体験」をした。母親から話を聞きながら、子育てについて関心を深める目的。中には初めて赤ちゃんを腕に抱く男子生徒もいた。
福祉コースの2年生(30人)を対象とした、恒例の校外体験活動。この日は半分の生徒となる男子5人、女子10人の計15人が定期検診に訪れる親子と交流を深め、子どもの健やかな成長、発達に必要な知識を学んだ。
生徒たちは保護者から育児の大変さなどを聞いたほか、おむつの取り替えなども体験。羽柴浩さん(16)は「子育ては大変だと知った。自分にも子どもができたら子育てを手伝いたい」と感想を述べていた。
佐原美佳教諭は「赤ちゃんの肌に触れる体験を通じて、母親にとって子どもがどれだけ大切かを知ってもらいたい」と話していた。
10月18日、残りの生徒15人を対象に「だっこ体験」をする。事後指導として、体験活動での感想や疑問などを保健士を交えて話し合う予定になっている。
母親に育児についての話を聞きながら赤ちゃんを腕に抱く生徒(高遠町保健センター) -
武士、町娘、魚売り…往来「高遠燈篭祭」
伊那市高遠町で23日、「高遠燈篭(とうろう)祭」があった。ほおずきちょうちんを飾り付けた西高遠の通りで、伝統の高遠囃子(ばやし)の巡行=写真、本町と仲町の山車も練り出した。夏祭りで計画していたメーンイベント「ご城下でござる」と花火大会もありにぎわいを見せた。
高遠囃子の巡行は保存会の桜奏会と婦人部、桜町の各連などが参加し、西高遠内を一円。高遠小学校児童による連の披露もあり、本囃子の「松囃子」、返り囃子の「唐子囃子」で本町交差点縲恂g持(ほこじ)神社の本通りを往復した。
江戸時代の城下町を再現した「ご城下竏秩vでは火消し、武士、町娘、魚売りなどに扮(ふん)した通行人が本通りを往来。記念撮影をせがまれるなど、至るところでアマチュアカメラマンや集まった住民らの注目を浴びていた。 -
高遠町図書館が高遠藩の貴重な記録公開
伊那市の高遠町図書館は、郷土史研究家の上島善重(1855縲・933)が残した資料と、高遠藩士の石川子音(1776縲・856)家の資料を目録にまとめ、一般への公開を始めた。いずれも高遠藩の藩政の貴重な記録などがあり「広く活用してもらいたい」と呼びかけている。
上島は陸軍退役後に高遠町に住み、1914(大正3)年から町長を務めた後、郷土史研究に励んだ。果堂(号)資料は研究のために集めたものなど267点。なかには「内状」と称する、江戸藩と高遠藩の家老の間でやりとりされた、藩の財政問題、藩士の賞罰、藩主の家族の婚姻などについての書状がある。とくに、江戸時代の疑獄事件で高遠に遠流された大奥女中の絵島の赦免を幕府の閣僚に働きかける家老たちの往復書簡12点は興味深い。
石川家資料は462点。同家は測量の技術がすぐれていたため、藩内の地図御用係を命ぜられ、測量機を考案して正確な地図を作製したと言われている。資料にも高遠城図など多数の絵図がある。
西高遠の石川家、東高遠の上島家からそれぞれ見つかり、石川家資料は5月、果堂資料は昨年9月に所有者から図書館に寄贈された。前高遠町文化財保護委員の北原千保子さんを中心に職員が資料整理をして目録を作成した。 -
中高生1泊2日の生活でリーダーシップ養う
ジュニアリーダー養成講座「半熟のつどい」の野外体験活動が17、18日、伊那市高遠町の国立信州高遠青少年自然の家であった。中高生らが小学生と一緒に自然の中でキャンプファイヤーやネイチャーゲームなどをして楽しんだ。NPO法人自然学校「ふる里あったかとお」(丸山宏一代表)主催。
市内の中高生を対象に、ボランティア活動を通じてリーダーシップを養う講座で、本年3回目。西箕輪中学校、伊那北高校から受講生4人が参加し、高遠小学校の児童9人らと1泊2日の活動を展開した。
初日の野外炊飯では2班に分かれ、それぞれにジュニアリーダー2人がついてカレーライスを調理。手順に困っている児童がいれば、優しく助言するなどして統率を取っていた。食事中の子どもたちからは「楽しいから4泊5日で泊まっていきたいな」などの声が聞かれた。
西箕輪中の上島大輝君(13)は「新しい発見を見つけるために参加した。同じ目線になって小学生らと仲良くないたい」と感想。伊那北高の渋谷侑加さん(16)は「皆で楽しんでもらうことが自分も楽しい」と積極的に参加者と会話を楽しんでいた。 -
高遠高校・英語クラブ ALTと留学生の歓迎会開く
伊那市の高遠高校の英語クラブ(魚谷沙央里部長)は14日夕、同校のALT(英語指導助手)と短期留学中の学生の2人のために歓迎会を開いた。ALTの出身国の家庭料理をつくり、皆で国際交流の和を広げた=写真。
歓迎を受けたのは7月に赴任した南アフリカ出身のALT、ニール・マルガンさん(34)と、9月上旬から2週間の日程で留学しているタイのプラチャクル・シャマイポンさん(17)の2人。
この日は、部員やクラブ顧問の中西温子教諭ら約15人集まり、マルガンさんの母親のレシピでアフリカの家庭料理「ミルクタルト」を調理。小麦粉、バター、卵などを混ぜて焼くといった簡単な料理だが、手順などを聞くのはすべて英語で会話が進んだ。
生徒たちは中西教諭の手助けをもらいながら積極的に質問するなどして交流。マルガンさんにでき上がった料理の味を聞くと「家に帰った気分になる」と笑顔を生徒たちに見せていた。
シャマイポンさんは「制服のスカートの丈や、箸を使う文化に最初は驚いたが、皆が親切に接してくれてうれしい」と感想。魚谷部長は「歓迎会をきっかけに英語や異国文化についてふれあう機会にしたい」と話していた。 -
雨にも負けず…小学校運動会
伊那市、箕輪町、南箕輪村の21小学校で16日、運動会があった。児童たちは毎日の練習を重ねてきた競技やダンスなどの種目を披露。悪天候に悩まされプログラムを一部変更する学校もあったが、友達や保護者らの応援を受けて、元気いっぱい走り回った。
伊那小学校(北原和俊校長、756人)は、全校児童を4チームに分けた対抗戦。全校参加の大玉送りやリレー、棒倒し、組体操など全26種目で「スポーツの秋」を満喫した。
2学年ごとの合同綱引きでは、それぞれ4チームがトーナメント戦。「せーの!」の掛け声と共に縄を全力で引き合う児童、中には勢い余って尻もちをつく姿もあり、周囲を和ませていた。
来入児による「まわれ、まわれ、かざぐるま!」では、園児たちがはじける笑顔で校庭を走り回った。北原校長は「元気な姿を見て、来年皆と仲良くなれることを確信した。入学するのを首を長くして待ってる」と呼び掛けていた。 -
伊那署管内の小中学生防犯ポスター審査会
伊那市、箕輪町、南箕輪村でつくる伊那防犯協会連合会と伊那署は15日、同署の道場で、管内の小中学生を対象に集めた防犯ポスターの審査会を開いた=写真。
15小学校4中学校(小学4年竏鋳・w3年)から応募があった378点(全年比33点増)の中から、各学年一人ずつ(中学2年は応募多数のため2人)の7作品を県審査会へ送る推薦作品として選出。そのほか金賞など入賞作品も選んだ。
伊那弥生ヶ丘高校美術科担当の宮澤芳博教諭、小嶋惣逸署長ら8人が、作品が訴えるメッセージ性、色使いなどのバランスを審査。防犯ブザーを持ち歩くなどの不審者に注意を促す趣旨のポスターが多かった。
入賞作品は、10月中旬の地域安全運動に合わせて、伊那市内の大型店で展示する。
推薦作品などに選ばれたのは次のみなさん。
▽推薦作品=原田卓弥(伊那小4)大杉望(伊那東小5)飯島千晴(東春近小6)小島のどか(西箕輪中1)立石彩香(同中2)高野萌恵子(箕輪中2)保科和也(高遠中3)▽金賞=伊藤大貴(南箕輪南部小4)赤羽郁海(箕輪中部小5)八木彩花(東春近6)城取紗希(西箕輪中1)宮島愛(同中2)柴綾美(箕輪中2)伊東有紗子(高遠中3)▽銀賞=向山翼(手良小3)小澤佳奈子(伊那東小4)小松みか(高遠小5)松村綾香(南箕輪南部小6)加藤将高(南箕輪中1)渡辺美樹(同中2)北村早織(西箕輪中2)中田千恵(高遠中3)▽銅賞=北原稜(伊那北小4)加藤美沙貴(南箕輪南部小5)吉岡優子(西箕輪小6)山崎貴也(南箕輪中1)加藤優(同中2)有賀由希子(箕輪中2)櫻井亜衣璃(高遠中3)▽佳作=中山圭介(高遠小5)杉本美玲(伊那東小6)湯澤圭(東春近小6)浦野茜(西箕輪中1)篠田瑞生(南箕輪中1)松田詩織(箕輪中2)落合美月(同)田畑瑠美(同) -
全国藩校サミット報告書完成
幕末の高遠藩校「進徳館」があった伊那市高遠町で5月に開いた全国藩校サミットの内容をまとめた報告書(A4判・80ページ)が出来上がった=写真。藩校教育の歴史と伝統を今後の教育や地域づくりに生かす方策を探った大規模集会を振り返ることができる。
サミット(5月27、28日)は、旧高遠町が進徳館教育の継承を狙って設けた「進徳館の日」に合わせて開催。高遠町総合福祉センターを主会場に、「進徳館精神を今、そして未来に」のテーマで、学習報告や講演、パネル討論をした。
報告書には、実学を重視した進徳館教育を実践する地元の高遠中学校の生徒や高遠高校の教諭による総合学習の活動報告、信州大学教授の笹本正冶さんと二松学舎大学顧問の石川忠久さんの講演など内容と写真を掲載した。
パネル討論も、パネリストとなった全国の藩主末裔(まつえい)をはじめ、各地で藩校の伝統を継承し、活動している学校や団体の代表者一人一人の発表内容を紹介している。
報告書は関係者や希望者に配布するほか、高遠町図書館などでも見ることができる。
問い合わせは、伊那市教育委員会高遠教育振興課(TEL94・2557)へ。 -
高遠青少年自然の家、心身に障害のある子どもたちのための自然体験プログラムの開発に着手
国立信州高遠青少年自然の家は、心身に障害のある子どもたちを対象とした「自然体験活動プログラム」の開発を進めている。自然・農業体験などを通して互いの交流を図り、社会性、自立心を育むことを目的としたプログラムで、信州大学教育学部などの協力も得ている。開発したプログラムは各公立施設などに報告し、実践的に活用していくことを考えている。
一般的に障害を持つ子どもは、野外で活動する機会が少なくなりがちで、そうした子どもを対象とする体験プログラムも少ない。しかし、野外活動は子どもたちにさまざまな刺激を与え、環境や自然に関心を持つきっかけになったり、生き物に対する優しさを学ぶなど、人格形成に反映されることも多い。
プログラムは、障害を持つ子どもたちにもこうした環境を提供し、心身の成長を促すことを目指しており、実際に子どもたちに体験してもらいながら、遊びの体系を検討していく。 -
高遠小の高遠囃子クラブ「灯篭祭り」に向け練習に熱
伊那市高遠町で23日にある高遠灯篭(とうろう)祭で、地元の伝統芸能「高遠囃子(ばやし)」を演奏する高遠小学校の伝承クラブが、本番に向けて練習に熱を入れている。
高遠囃子は各町内にそれぞれ異なる囃子が伝わり、現在、本町や仲町、霜町など8町内会で保存されている。クラブは、譜面が残り「曲が短くて、わかりやすい」(保存会)ことから、鉾持(ほこち)町内の曲を演奏する。
当日は本町交差点から鉾持神社までの本通りおよそ400メートル間を往復。往路を本囃子といい「松囃子」を、復路を帰り囃子といい「唐子」を奏でながら巡行する。
クラブは発足7年目。3縲・年生の有志でつくる。祭りには発足当初から出演し、保存会の桜奏会(小松友衛会長)と婦人部(堀井美代子部長)の指導を受ける。
三味線、横笛、太鼓、大皮、鼓で構成し、担当楽器ごとに練習を重ね、全体で音合わせをする。豪雨で中止となった7月の高遠城下祭りにも出演する予定だったため、6月から週2回励んでいる。
本番は2列で練り歩くため、2週間前から、校内外を歩きながら演奏する実践練習にも取り組む。前後列の間隔やリズムに狂いが生じるなど難しく「演奏のテンポが早いからもう少しゆっくり」などと指導を受ける。
三味線を担当する6年の畑和輝君(11)は「掛け声も大きく出るようになってきたし、息も合ってきたと思う。絶対に成功させたい」と意気込む。
祭りは地区内各所にあるお宮が鉾持神社に合祀(し)された明治以降、記念の秋祭りとして続けられている。当日は午後2時に出発する。 -
心身に障害のある小中学生と家族が信大で農業体験を通した交流会
農業・自然体験を通して心身に障害がある子どもの社会性や自律性を育み、家族同士の交流による情報交換、心のケアに当たる国立信州高遠青少年自然の家の企画事業「みんな友だち竏虫ゥ然とともに竏秩vが9日、南箕輪村の信州大学農学部農場などであった。県内外の12家族34人が集まり、6月に植えたサツマイモやニンジンなどを収穫。それを使った豚汁づくりに臨み、交流を楽しんだ。
98年から継続的に行われている取り組みで、例年リピーターとして参加する家族も多い。1泊2日で、子どもたちにはいつもと異なる環境の中でさまざまな人との交流やイベント楽しんでもらい、保護者には情報交換の場を提供したり将来に向けた就業相談の場を提供。家族のトータルケアに当たる。
農作業に参加した家族は「大きいと思ったけど以外に小さかったね」などと話ながら、秋の実りの収穫を楽しんでいた。
また今年は、高遠少年自然の家周辺にある自然を生かした自然体験を2日目に企画。森の中に宝物を隠し、それを探知機で子どもたちが探しあてる「森の宝物探し」などを行い、自然体験プログラムの開発につなげる。 -
三峰川みらい会議水チームが7月豪雨の影響から、三峰川の治水を改めて検証
三峰川みらい会議水チームは10日、7月豪雨の影響で変容した三峰川から、改めて治水のあり方を考える検証会を河川流域で開いた。関係者など15人が参加。自然の流れに沿った治水の必要性を認識した。
ダムの影響もあり、1983年の58災害以降、大きな水害がなかった三峰川だが、今回の雨では、流道の変化や大量流木の発生など多くの変化があった。
ジョギング・サイクリングロードが流出した伊那市富県の左岸には、流出した後から大きな白岩が出現。本来この白岩は、川との境界となっていたが、大きな流れが発生しなくなると同時に白岩の周りに土砂が堆積。その上にサイクリングロードが作られていたため、今回の流出を招いた。参加者からは「これが昔ながらの姿。このままに留めた方がいい」「川の流れを変えてここにサイクリングロードを作ってもまた同じように流される。もともと変化の大きい三峰川の流れを固定するのは無理」などの声が挙がった。
一方、流木の大量発生は58災害時には見られなかった。20年近く大きな氾濫が無かった三峰川では、外来種樹木などが巨大化し、川本来の姿が失われていることが問題視されている。国やボランティアが除伐を試みた部分もあるが、そうした部分はごく一部で、今回の災害では片付けられないほどの大量流木が発生した。水チームの前林賢一代表は「今回は流量が少なかったからこのくらいで済んだが、今後また、こうした流れがあれば流木が橋に引っかかり、欠損する危険性もある」と指摘。樹木を放置は、治水の観点からも危険が高まることを認識した。 -
高遠町女性団体連絡協議会が研修会
伊那市の高遠町女性団体連絡協議会(山川佳江会長)の定期研修会が2日、町総合福祉センター「やますそ」であった=写真。会員ら約150人が集まり、「笑って平和な暮しを…」をテーマに環境整備の感想発表、南信病院の近藤康治院長の講演などを聞いた。
婦人教育推進協議会、町婦人会、町商工会女性部など14団体でつくる連絡協議会。発足から29年目を迎え、定期研修会も同年を数える恒例行事となっている。
山川会長は「近い将来、同会も市内女団連との合併の岐路に立つ。男女共同参画を目的に、地域活動を元にして、未来を見据えていきたいと思う」とあいさつ。伊東義人町地域自治区長は「女性の元気さを市政の発展、地域の振興のために役立てて」と祝辞の言葉にした。
研修会では「豊かな家庭と住みよい町づくりのため、男女が共に輝き、元気に活躍できる町を目指す竏秩vとの宣言文の朗読もあった。 -
高遠の武家屋敷遺跡で発掘調査の現地説明会
伊那市高遠町にある東高遠若宮武家屋敷遺跡で3日、発掘調査の現地説明会があった。武家屋敷は江戸時代後期とみられ、建物の柱を置く「礎石」が升目のように並び、当時のまま残る建物跡を確認した。
建物跡は、天保年間(1830竏・4年)に作成された「御家中屋鋪(ごかちゅうやしき)絵図」(歴史博物館所蔵)の間取りとほぼ一致。間取りは10・8メートル×12・6メートルで、座敷、いろりのある茶の間、土間、みそ部屋などがある。トイレは2つで、客用の陶器製、身内用の木製がある。武家屋敷では一般的という。
「礎石」は1・8メートルの等間隔で列をなして並び、石の上には測量基準線の墨が残っている。
説明会は2回開かれ、地元住民を中心に約100人が訪れた。伊那市と伊那建設事務所の委託で調査に当たっている県埋蔵文化財センターの職員が調査の概要などを説明。
昨年度の調査で出土した、県宝旧馬島家住宅を含めた遺物約20点を展示した。地鎮祭で使ったとみられる灯明皿、水をひくための高遠焼きの土管などが並び、参加者は興味深げに見入った。
センター調査研究員の広田和穂さんは「江戸時代から変わらない街並みが数多く残っている。江戸時代から現在まで人々の暮らしがつながっていておもしろい」と話した。
遺跡は国道152号バイパス建設にかかることから、05縲・6年度にかけて面積千平方メートルを調査。対象は武家屋敷3軒。家の建て替えがあったにもかかわらず、江戸時代から礎石がそのまま使われ、地表を掘り下げることなく、建物跡が見つかった。出土品は、陶磁器、胴突石、キセルなどコンテナ40箱分。
今後、床下調査で整地年号を特定するなどし、10月末に終了する。 -
高遠高校「兜陵祭」はじまる
伊那市の高遠高校の文化祭「第46回兜陵祭」が2日、始まった。生徒の友人や保護者なども多数訪れ、催しや個性豊かな展示を楽しんでいる。
今年のテーマは「兜陵STORY縲恂イと希望と感動を縲怐v。
2学年は、「沖縄」をテーマとした展示を企画。自然風土、歴史、戦争体験など、各クラスがさまざまな角度からの展示をしており、海の中を再現した水族館も登場した。中庭のイベント会場では、早食い大会を開催。横一列に並んだ男子生徒らは、スタートの合図とともに目の前の菓子を一気に口の中に押し込み、会場の笑いを誘っていた=写真。
また、うどんや菓子など食べ物のブースは人気が高く、多くの人でにぎわいをみせていた。
一般公開は3日の午前10時40分縲恁゚後2時半にもある。体育館では、合唱部や吹奏楽部などの演奏会も行う予定。 -
伊那市の矢沢保信さんに県献血推進協議会長表彰
県献血推進協議会長表彰の伝達表彰が30日、伊那市の高遠町総合支所であり、旧同町献血推進委員会の元会長、矢沢保信さん(68)=東高遠・写真=が伊東義人同支所長から賞状などを受け取った=写真。
矢沢さんは89年から17年間、同町の会長として献血活動に貢献。在任中は2月の「だるま市」の献血を定着化させるなど、地域推進活動に積極的に取り組んだ。自身も献血に協力し、50回以上の実績を持っている。
伝達表彰は7月19日、駒ヶ根市で予定していた上伊那郡市献血推進大会が豪雨災害で中止となり、この日の高遠町総合支所の朝礼で賞状などを授与。功績に対し、職員からは大きな拍手がわいていた。
伊東同支所長は「地域の献血推進のための活動に心から感謝を」と労いの言葉。矢沢さんは「この喜びは皆さま方の協力があったからこそ」とあいさつした。