-
洪水バイパストンネル試験運用開始
美和ダム土砂流入抑制長谷村美和ダムへの土砂流入を抑制するために設置された洪水バイパストンネルが5日、初めて試験運用され全長4300メートルのトンネルに水が通った。
午前11時にゲートが開けられ、まず毎秒10トン、続いて同20トン規模で水が流された。ダム下の排水口対岸に集まった国土交通省三峰川総合開発工事事務所(三峰総)の職員や関係者など約50人が見守る中、開門約20分後コンクリートを溶かしたような灰色の水が勢い良く流れ出した。午後も試験運用され、午後5時に終了した。
トンネルは、ダム上流の大規模な分派堰・貯砂ダムとセット。洪水時に美和ダムに流れ込む土砂のうち粗い土砂は貯砂ダムで止め、細かい土砂は分派堰でせき止めてバイパストンネルに迂回、ダム下に放出する。01年1月に着工、4年の歳月をかけて05年5月に完成した。総工事費は170億円。
三峰総によれば、美和ダムには三六災害や72‐73年の大出水を始め毎年大量の土砂が流入し、ダムに溜まった土砂は(堆砂)は02年までに約2000万立方メートルにも及んだ。その一部500万立方メートルはは砂利資源や盛土材として利用したが、恒久的な堆砂対策なしには美和ダムの機能維持が難しいとして、多目的ダムでは全国初の同施設の建設となった。
今後は、流入量が毎秒100トンを超える時には、この堆砂システムを運用して、ダム上流からダム下に直接水を流す予定。当面2年間は試験期間とされているが、実質的には運用開始といえる。美和ダムでの状況を見て、小渋ダムでも同様の施設建設を進めるとされており、170億円をかけたシステムの効果がどう出るか注目される。 -
「気場」発見10周年
長谷村分杭峠で「気場」が発見されて10周年を迎え、2・3日に同村入野谷の南アルプス生涯学習センターで記念イベントがあった。主催は、関連団体などで作る実行委員会(宮下市蔵長谷村長)。
2日は早稲田大学名誉教授の春木豊さんの記念公演などが、3日は「気場発見」の立役者の宮本高行さん(発見当時の三峰川総合開発工事事務所長)による経過の説明と、パネルディスカッションなどがあった。
パネルディスカッションには春木さん、宮本さん、宮下村長のほかに、「気場」体験者として、横浜市の中村祐子さん・茨城県ひたちなか市の佐藤清さんも並び、前県議で駒ヶ根元気UPの会代表の佐々木祥二氏がコーディネーターを務めた。
「分杭峠は初めて来た時から強い気を感じ、体の調子が良くなった」(中村さん)、「脳梗塞で右麻痺になったが、気場に来て体がしびれ、帰る時には歩いて帰れた」(佐藤さん)窶狽ネどと体験談が述べられると、心理学者である春木さんからは「科学的に証明されていない話を私は解説できないが、体を治そうという強い『気力』と、気場に集まることによる一種の催眠作用などにより、体の調子が良くなることはあると思う」窶狽ネどと発言。それぞれの視点から「気場」を語り合った。
長谷窶泊蜴ュ村境にある分杭峠は、中央構造線が作る地形の影響で地磁気が特殊な状態を示すが、10年前の7月2日、宮本さんや佐々木さんが中心になって中国から招いた気功の大家・張志祥さんが「世界有数の気場」であると宣言した。
以来、不思議な力を持つ「気場」として気功の力を信じる人々の間で評判になってきた。長谷村も「気場」の効力にあやかって、地域振興や医療・保健・福祉の充実に重点を置いた「気の里」構想を立案・実施し、地元企業も「気の里」の・ス不思議な水・スを使った特産品づくりを進めてきた。
宮下長谷村長は「このイベントは気場を大切にする民間の力で実現したもの。気の力を信じる人と信じない人いろいろいる。村としてはできることは協力するが、医療・福祉の充実が主眼」と報道陣に話した。 -
信州・熔壌ガラス「江副行昭・江口智子人展」
長谷村に工房を構え、創作活動を続けている熔壌ガラスの創始者江副行昭さんと、その弟子江口智子さんの「信州・熔壌ガラス二人展」が、1日から伊那市旭町のはら美術で開かれ、独特の色調と光沢を放つ約200点の壷や皿などが、訪れた人々を魅了している。
日本の青畳の上でも使えるような「わび・さび」をのあるガラス作品をつくりたい窶迫o壌ガラスは江副さんのそんな思いから誕生したもので、土に含まれる鉱物とガラスを溶け合わせることで、それまでのガラスがもち得なかった光沢と深みのある色調表現に成功した。「わびさびを表現するには、多くの鉱物が含まれる南アルプスの土が最も適している」と江副さんは話す。
土によって色調も深みも変化するという作品の数々は、重厚感があり、日本文化の趣きが表現されている。
15年前江副さんの工房に入所し、93年に熔壌ガラス技術を継承した江口さんは、花や動物をモチーフにした鮮やかな作品が多い。中でも模様を描き焼き付けている独自の作品は、女性的で安心感があり、江副さんの作品との違いを楽しむこともできる。
入場無料。5日まで。
##(写真よこ)
##(了) -
ボランティアガイドがジオパークを案内