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野鳥のエサ台、積もった雪をみんなでどかして
校内2カ所にエサ台を設置して、野鳥観察に取り組む宮田村の宮田小学校1年2組。10日に3学期の始業式を迎えて元気に登校したが、冬休み中の大雪がもたらした異変に気付いた。
児童の目に飛び込んできたのは、エサ台に積もった大量の雪。これでは鳥たちが寄り集まれないと、さっそく、シャベルなどを持ち出してエサ台の元へ走った。
寒くても子どもたちは元気一杯。雪をきれいに取り除く児童もいれば、縁の下で支柱を支える姿も。誰かに指図されるわけでもなく、個人ができることを考えながら協力して作業した。
「鳥さんはまた来てくれるかな」。祈りながら、パンやリンゴ、ミカンなど新たなエサを置いた。 -
小学校のスキー・スノボ教室始まる 富小一番乗り
伊那市の富県小学校の3竏・年生(98人)を対象としたスキー・スノーボード教室が11日、同市西春近の中央道伊那スキーリゾートであった。児童たちは晴天の中、笑い声を響かせながらシュプールを繰り返し描きながら楽しんだ。
市内の小学校の中で今シーズン、最も早く教室を開いた。3・4年生は全員がスキーを、5・6年生はスキーと4年前から取り入れたスノーボードのいずれかを選んで技術の取得を目指した。
教室は、個々の能力に応じて12グループに分かれ、同スキー場のインストラクターが指導。初心者はブーツの履き方、スキー板をハの字にして滑る「プルークボーゲン」などを学んだ。
半日も立つと全員がリフトに乗って、約1キロのゲレンデを滑り下りるほど上達。児童らは、何度も転び雪の感触を味わいながら思い思いに滑降を満喫した。 -
駒ケ根市内4小学校で始業式
駒ケ根市内の5小学校のうち東伊那小を除く4小学校で10日、3学期の始業式が一斉に行われた。赤穂小学校(高野普校長)では1、3、5年生の代表児童らが全校児童を前に3学期に向けての決意を発表するなどして、気持ちも新たに新学期のスタートを切った。
5年生は年明けらしく、毛筆で書いた「けじめをつける」「発言をする」「やさしい心」などの作品を1人ずつ示しながら、3学期に懸ける目標や決意をそれぞれ発表した=写真。
高野校長は児童らに「学期の始まりに当たって自分で掲げた目標を実現し、修業式にはみんなが金メダルをもらえるよう頑張ってほしい」と呼び掛けた。
東伊那小学校は11日に始業式を開く。 -
宮田小学校始業式
宮田村の宮田小学校は10日、3学期の始業式を開いた。雪を踏みしめて子どもたちが登校。年末年始の出来事や新年の抱負などを語りあった。
登校してきた児童は、「あけましておめでとうございます」と友人や担任にあいさつ。力作の書き初めをみんなで見せ合ったり、課題帳の答え合わせなどもした。
全校で校内を掃除して、6年生は通路を雪かき。新学期もきれいな学び舎で励もうと、心も新たにした。
始業式では2年生の平沢優紀さんと5年生の田中芽生さんが新年の抱負を全校に発表。
勉強や児童会活動など目標を持って頑張り、自分の役割を責任持ってやり遂げたいと話した。
野溝和人校長は「今年の干支であるイノシシのように、速く、高く、強く、目標を持って進んでください」と呼びかけた。 -
新田区どんど焼き
宮田村新田区で8日、どんど焼きが行なわれた。大雪により1日順延しての実施となったが、村内でも1、2を争う立派な飾り付けで、子どもたちを中心に昔ながらの正月行事に親しんだ。
地区育成会とPTAが協力し、子どもたちが各戸の正月飾りなどを田んぼに集めた。
3メートルほどの高さに上手に積み上げ、しっかりと組んで点火。一面の銀世界に炎が映え、取り囲んだ約50人を幻想的な雰囲気で包んだ。
2時間ほど燃え続け、餅焼きも。マシュマロやリンゴ、みかんなども焼いて、住民一緒に無病息災を願った。
大雪では駒が原や中越区が14日にどんど焼きを延期するなど、新田区以外でも影響が出た。 -
高遠北小で書き初め展示
伊那市高遠町の高遠北小学校(宇治正隆校長、62人)は10日、授業で書道を習っている3年生以上が、年末年始休業中に仕上げた書き初めの作品を各教室の廊下へ展示した。19日まで。
3年生は「はつゆめ」、4年生は「はるの光」、5年生は「創造する心」、6年生は「希望の春」の文字が冬休みの課題。それぞれ、今年の願いを込めた力作を並べている。
3年生は、今年度4月から毛筆習字の学習を開始。事前に授業で書く文字を学び、児童11人が休み中、自宅で練習した。短期間の休みで上達した子どももいて「練習の成果が出ている」と担任の宮島優子教諭は評価する。
宇津真気君(9つ)は、学校でもらった習字紙だけでは足りないほど練習した。「『め』の文字のバランスに苦労した。おかあさんに教えてもらいながら10枚以上練習した」と、満足いく出来映えに照れ笑いを見せていた。 -
駒ケ根東中3学期始業式
駒ケ根市の東中学校(小木曽伸一校長)は9日、3学期の始業式を開いた。全校生徒を前に1年の北沢明君、2年の渋谷多江さん、3年生の福原祐樹君が、学習や部活動、高校受験など、3学期に懸けるそれぞれの目標や決意を堂々と発表した=写真。
小木曽校長は「まとめの学期である3学期が新年とともに始まるのが3学期制の味わい深いところだ。登校日数はわずか50日程だが、一年間の締めくくりであり、来年度の準備期間でもある。新たな気持ちで夢や希望を膨らませながら一日一日を大事に過ごし、目標を達成してほしい」と呼び掛けた。 -
東春近小で慶祝音楽鑑賞
伊那市の東春近小学校で9日、3学期の始業式に合わせ、慶祝音楽鑑賞があった。伊那三曲協会メンバー13人が箏(こと)・尺八で4曲を演奏、児童たちは気持ちを新たにスタートを切った。
音楽鑑賞は、新年の出発に当たり、日本古来の音楽に触れる機会を持とうと始まった。18回目を数え、例年、伊那三曲協会に依頼している。
昨年2月、伊那と木曽を結ぶ権兵衛トンネルが開通したことから、曲目に「伊那の春」「木曽路の旅」を選んだ。
体育館に集まった児童たちは、しっとりとした音色に耳を傾け「富士山」を一緒に歌った。
三曲協会は、上伊那の小中高校の要望に応じて箏を指導し、日本音楽の普及に努めている。同校は2月、6年生を対象にした邦楽教室を開く予定。
10日には箕輪西小へ出向き、初めて演奏する。 -
中越区昔の遊び集会
宮田村中越区で6日、正月ならではの遊びを楽しむ「昔の遊び集会」が同集落センターで開かれた。地区児童会の恒例行事で、多くの小学生が参加。テレビゲームとは一味違う、みんなで一緒に遊ぶ面白さを満喫した。
子どもたちは昔ながらのゲームやおもちゃを持参。さっそく数人で集まりにぎやかな歓声がこだました。
慣れた手つきでコマをまわす男の子たち。。カルタを広げ、和気あいあいと熱中する女子の姿も。トランプに将棋、羽根つきなど、多彩な遊びを堪能した。
屋外は大雪で一面の銀世界。雪合戦や雪だるまを作って、外でも子どもたちは元気に走り回った。 -
高遠小新年の会でマリンバ演奏楽しむ
伊那市の高遠小学校は9日、3学期の始業式に合わせて恒例の「新年の会」を開き、マリンバの演奏を楽しんだ。
同校は毎年、さまざまな奏者を招いて音楽に浸り、気持ちを新たに新年をスタートさせている。今年は市内出身のマリンバ奏者、伊藤聡さんら3人を招待した。
曲目は「ハンガリア舞曲」「雨の踊り」「賛美歌」など、軽快なリズムの曲から心和ます曲まで全5曲。児童たちはマリンバの音色に聞き入り、音楽に親しんでいた。
始業式では、代表の児童たちが意見発表。卒業を控える6年の女子児童は「学習面、生活面で小学校のまとめをしたい。中学校の入学を前に不安や心配が多いが、残りの学校生活の1日1日を大切に過ごして、自信や希望に変えたい」と決意を語った。
白鳥彰政校長は「願いや目標を持つことが大事であり、それを実現するようにやり遂げる一年にしてほしい」と呼びかけた。 -
無病息災願いどんど焼き
宮田村内各地区でにぎやかに、伝統親しむ宮田村内各地区で7、8日朝、1年の無病息災を願うどんど焼きが行なわれた。大雪に見舞われたが、子どもたちが中心になり、各戸から正月飾りや門松などを集めて点火。天高く昇る炎や白煙に歓声があがった。
町二区は宮田小学校の校庭で行ない、子どもから大人まで70人ほどが参加。集めたダルマやしめ飾りなどを高さ3メートルほどに積み上げ、火をつけた。
吹雪模様のなか「バチ、バチ」という音をあげて燃えあがり、幻想的な雰囲気も。餅も焼いて食べ、地域一緒に新春の行事に親しんだ。
南割区は昔ながらに班(隣組)単位で実施。村内では区ごとにどんど焼きを行なうケースがほとんどだが、アットホームな雰囲気で正月行事を盛り上げた。
43戸の8班は近くの田んぼで行ない、寄り添うように新春の炎を見つめて団らんした。
餅を焼き、持参したきな粉やしょう油などで思い思いにパクリ。アツアツ、もっちもちの味に舌鼓を打ち「今年も良い1年になりそう」と笑顔があふれた。 -
中川西小3年(片桐操教諭、20人)
「1人ひとりが自分の畝(うね)の大豆の管理をすることで、責任感も大豆に対する愛着も生まれた。豆腐づくりを通して、食物の大切さや農業の大変さにも目がいくようになった」と、片桐教諭は子どもたちの育ちを実感している。
昨年、生活科の学習で大豆を栽培、豆腐づくりを体験した同学年は「去年よりもたくさんの大豆を作りたい」「家族にも豆腐を食べさせたい」と希望し、総合的学習のテーマを「もっとたくさん大豆を作ろう」に決めた。
体育館北の座光寺喜久司さんの畑2アールを借り、6月、座光寺さんの教わりながら、種から苗を育て、10畝に2100本を定植した。1畝を半分にし、ひとり一人が分担場所を決め、名前を書いた看板を立てた。「看板を立てたことで、大事にしよう、しっかり世話をしようという気持ちが生まれた(片桐教諭)」。子どもたちは大豆の成長を観察したり、夏休み中も草取りにくるなど世話をした。
夏休み明け、座光寺さんに「虫がつき、実入りが良くないので消毒する」と言われた子どもたちは、大豆についた虫を観察、3種類あり、図鑑やインターネットで調べた。大豆観察は目視だけでなく、割って中を見たり、においをかぎ「キュウリのようだ」。
収穫期が迫り、子どもたちは収穫した大豆で何をしようかと話し合った。多くの子どもたちから「豆腐を作りたい」「お世話になった座光寺さんにお礼をしたい」という提案があり、「豆腐を作り、座光寺さんに食べてもらおう」ということに。「どんな豆腐を作りたいか」を話し合い、それぞれのイメージを膨らませ、班ごと豆腐づくりもした。
11月27日は2回目の豆腐づくり。この日の午後、青少年赤十字研究推進校の公開授業があり、全県から小中学校の教諭ら約50人が来校、同学年の豆腐づくりを参観した。各班ごと午前中に作った豆腐を試食し、味、見た目、舌ざわりなどの観点で出来映えをチェックし、他の班の豆腐と食べ比べ「うちの班の方がおいしい」「表面がざらざらしている」など感想を。
この後「にがりを増やす」「重しを調節する」など、次回への見通しも発表し合った。 11月30日、待ちに待った大豆の収穫。座光寺さんや保護者に教わりながら、木は枯れ、しっかりと実が入った大豆を根ごと抜き取り、わらで束ねた。「重い、重い」と言いながら、旧校舎に運び込んだ。大豆を抜いた後、雑草や枯草なども取り除き、畑をきれいにしたり、土に落ちた豆を「もったいない」とひと粒残らず拾い集めていた。
片桐教諭は「大豆を収穫する作業をやり遂げたことで、『たくさん収穫できた』『これで豆腐が作れる』という収穫の喜びを味わうことができ、座光寺さんへの感謝の気持ちも深まるのでは」と話していた。 -
七草がゆで今年も元気モリモリ
宮田村の福祉交流施設・なごみ家は6日、七草がゆを利用者に振る舞った。正月疲れで減退気味の食欲も、さっぱりした粥(かゆ)でモリモリ増進。何杯もおかわりし「今年も元気に過ごせそう」と笑顔が広がった。
同施設で栽培している大根の葉(清白=すずしろ)など、愛情たっぷりのおかゆに彩り豊かに添えた。
利用者は「美味しい」「ちょうど良い感じ」と絶賛。あっという間に完食し「おかわりしようっと」と箸(はし)が進んだ。
「これで1年無病息災」と、おなか一杯大満足。正月明けの伝統行事に親しんでいた。 -
のびのび書き初め、宅幼老所わが家
宮田村町一区の宅幼老所・わが家は4日、新春恒例の書き初めを行なった。1年の抱負などを頭に浮かべ、利用者が力強く筆を走らせた。
気恥ずかしさから「筆を持ったことがないもんで」と、はじめのうちは遠慮気味だったおじいちゃん、おばあちゃん。
しかし、いざ半紙に向うと、伸び伸びと力強く書く姿が。新年にふさわしく気合が入った素晴らしい書き初めに仕上がった。
職員が「上手に書けたねぇ」と声をかけると、みんな柔和な表情に。書をたしなみ、笑い初めもした。 -
・ス学問の神様・ス大原天満宮の初詣でにぎやか
宮田村大原区の大原天満宮は二年参りや三が日にかけて、初詣に訪れた多くの参拝客で賑わった。
・ス学問の神様・スとして有名な京都・北野天満宮の分社でもあり、受験生をはじめ子どもたちが参拝する姿も。村外から訪れる家族もあった。
12月31日から元旦にかけての二年参りは区民ら約50人が集まり、みんなで揃って年越し。新年を迎える午前零時とともに、社殿に向って一斉に参り、お神酒なども振る舞われた。
たき火を囲みながら隣近所が迎春のあいさつ。「今年も良い年でありますように」と年始に語り合った。 -
洋画作家による漸進展
伊那市出身・在住の洋画作家による「漸(ぜん)進展」が4日、駅前再開発ビル「いなっせ」2階ギャラリーで始まった。中央展入選の実績を持つメンバーがほとんどで、写実、具象、抽象など新作16点(遺作1点含む)が並ぶ。9日まで。
いなっせのオープン記念として始まり、本年で4回目。メンバーは50縲・0代が中心で、昨年の市町村合併で高遠町の4人が新たに加わった。所属を超え、画風が異なる作品がそろうのは珍しく「刺激を受ける」(竹村新太郎実行委員長)という。
作品は、市内手良から西駒を望んだ「山嶺雪霞」、柿取りの「里の秋(高遠)」、「月と女曼陀羅(まんだら)」「木洩(こも)れ日」「大地」など作者なりの世界が描き出される。サイズは100号前後と大作ばかりで、見ごたえがある。
開館は午前10時縲恁゚後5時(最終日4時)。入場無料。 -
84人が大人の仲間入り
中川村は「成人の日(8日)」に先立ち3日、文化センターで07年成人式を開いた。新成人84人(男40、女44)のうち、76人が女性は華やかな振り袖で、男性はスーツ姿で出席し、村理事者や村議会、恩師らの祝福を受けた。
村公民館と新成人などでつくる実行委員会が企画、進行したこの式典で、松村正明公民館長は「成人式は社会を担う一員として公に認められた節目の式。父母や地域社会、自然に感謝し、21世紀を担う大事な1人として、心と体の健康に留意し、村や日本、世界の発展に貢献して」と期待した。曽我村長は「困難に遭った時、よく考え、自ら動くことが大切。普段の生活では積み重ねにより、自分にいい癖をつけて」と激励した。
引き続き、新成人の代表に村からは記念写真と小皿セットが贈られた。
また、新成人を代表し、北島想さんは「これからの行動の全てに自分の責任が発生する。夏の参議院選挙に参加することや、村を大切にしていくのも私たちの責任。責任ある大人になるために日々努力したい」。片桐麻衣子さんは「自分の行動に責任を持ち、今までに会った人、これから会う人も尊重し、1歩1歩成長したい」とさわやかに、成人の決意を述べた。
この後、成人者は輪になって1分間スピーチ、最後に記念撮影を行い、思い出深い節目の式を閉じた。 -
もう1つのテーマは「平和への祈り」
新春インタビューで劇映画「ビューティー」の後藤俊夫監督のお話を聞いているうちに、映画の主テーマは、伊那谷の四季折々の美しさと村歌舞伎を守る人々の美しさ、もう1つのテーマは、美とは対極にある戦争のむごたらしさ「不戦、平和への祈り」ではと感じた。
冬季撮影はシベリアの捕虜収容所シーンを撮る。昨年、シベリア抑留体験者の話を聞いたが、零下30度、想像を絶する寒さ、餓死と隣合わせの極度の栄養失調、厳しい看視の中、ノルマが課せられた強制労働、果てしない雪原を2人引きノコギリを手に、とぼとぼと歩む幽鬼のような捕虜の隊列:。映画ではどのように表現するのだろうか。
命も財産も、文化も多くを失った敗戦体験から、改憲などありえないと思っていた「憲法9条」問題、ゆらぐ核三原則、どこか危うげな年の始めだ。
声高に不戦を唱えるよりも、映画を通じて訴えることは観る人の心に染み渡る。完成が待たれる(大口国江) -
ビューティー、冬季撮影は28日から、いよいよ佳境に
美しきもの、それは雄大な伊那谷の四季を背景に、舞台と歴史に彩られた哀しくもやさしい人生舞(ストーリー)-。飯島町在住の後藤俊夫監督(67)がメガホンを取る長編劇映画「Beauty-美しきもの(旧題村歌舞伎一代)」は昨年11月2日クランクインし、11月26日までに秋シーンを撮り終え、1月28日から、シベリアの捕虜収容所(ラーゲリ)シーンの撮影に入る。現在、飯島町上の原JA上伊那果樹選果場保冷庫にラーゲリの内部セットを、霧ケ峰高原にはラーゲリの門や小屋など大規模なセットを建設している。
冬季撮影は終戦後、半次と雪夫はシベリアの捕虜収容所内にいた-から始まる。厳しい寒さと飢え、苛酷な労働で次々と命を落とす仲間たち。雪夫も病にかかり、ロシア兵に連れられてしまう:。
大鹿村大磧神社の撮影は、40年後(現代)、老いて戦傷がもとで足が動かなくなった半次の引退公演(村歌舞伎)。最後の舞台で万感の思いを込め、渾身の力を振り絞って、半次が舞うのは、雪男が舞うはずだった「天竜恋飛沫」。ラストシーンを伊那谷の住民500人がエキストラとして参加し、感動を共有する。
「Beauty-美しきもの」は05年5月、飯島町で制作・成功させる会を発会。11月1日、宿舎の飯島町千寿荘前で安全祈願祭。2日、飯島町岩間上山地籍にセットされた半次の家でクランクイン。後藤監督、主役の高橋平君(11)をはじめ、半次の祖父で木地師、半造役の井川比佐志さん(69)が出演し、重厚な演技を見せた。石置き屋根と古びた引戸と、水車もあり昭和10年代の民家を彷彿させるセットは古い倉庫を改装した。
4日には半次役の歌舞伎役者、片岡孝太郎さんが飯島入りし、セット近くの林道で復員した半次が家に帰るシーンを撮影。8日、歌子役の麻生久美子さんも加わり、足を引きずって帰還した半次を歌子が迎えるシーンを撮った。
25日は飯島陣屋の一室を歌舞伎練習場(歌子の家)に見立てて、少女歌子が少年雪夫と踊りの練習をするシーン、歌子の養父、東浦鶴太夫役の赤塚真人さんが出演、慈愛と厳しさに満ちた父親役を好演した。
翌26日は秋撮影のクライマックス。大磧神社舞台で、大鹿歌舞伎(映画では伊那路歌舞伎)の上演シーンを撮影。上下伊那の住民500人余が自前や借り物の銘仙の着物、もんぺ、半てん、詰襟学生服、セーラー服など昭和10年代の服装で観客役で出演し、タイムリーな掛け声、即興のやじ、花を投げたり、笑い転げるなど大熱演で、映画を盛り上げ、秋季撮影は順調に終了した。
なお、28日から始まる冬季撮影に向け、制作本部ではエキストラ(捕虜役、歌舞伎観衆役)を募集している。詳細は飯島町教育委員会(TEL86・5877) -
後藤監督に新春インタビュー
新年早々、冬季撮影のラーゲリセットの準備で多忙な後藤俊夫監督を宿舎に訪ね、秋シーン撮影の感想や今後の展開、進ちょく状況などをお聞きした。
-秋季撮影を終えた感想は
全体の25%を撮り終え、とりあえず、秋シーンはうまくいった。11月にアルプスに雪がなく予想外だっが、最後に実景で、きれいな絵が撮れた。
主役の片岡孝太郎さんは歌舞伎役者の若手のホープとして活躍している。感情表現が豊かで、計算された細かい芝居を見せている。19歳から、復員する25歳まで青年時代を演じているが、若さが出ていてよい。子役は歌舞伎舞踊がまだ十分でない。4月いっぱい、藤間勘十郎さんに踊りを特訓していただく。井川比佐志さん、赤塚真人さんの2人のベテランが周りをしっかり固め、作品に厚みを出し、しっかりと骨格ができ上がった。
-上下伊那からエキストラ500人を動員した大磧神社の歌舞伎シーンはどうでしたか
早朝から昭和10年代の衣装と髪型で希望した500人が集まっていただき、大変あり難かった。地元の美容師さんがメイクで協力していただくなど、多くの人が手助けをしてくれた。出演した人からいい経験ができ、楽しかったと喜んでいただいた。近年の農村歌舞伎はやじも飛ばないし、静かに鑑賞しているが、昔は舞台と観客が一体になって舞台を盛り上げた。にぎやかにやっていただき、雰囲気が出た。
-これからの物語の展開は、冬季撮影はどのように。
伊那路村では半次、雪夫ら3人に赤紙(召集令状)が来て、お別れ狂言を最後に、出征する。3人は敗戦でソ連軍の捕虜になり、極寒のシベリアの捕虜収容所に送られる。4年間の抑留生活で仲間が次々と命を落す中で、雪夫も病気になり、ソ連兵に連れていかれる。半次だけが死んだ者たちの遺言を背負って村に帰るが、踊り手もなく、村歌舞は消滅していた。死んだと思われていた雪夫は光を失い、盲目になって帰っていた。雪夫は逃避行の中で満蒙開拓団の自決の場に立ち合い、手榴弾を投げこみ、自決に手を貸してしまう。その残酷な記憶が、故郷に足を向けさせない。半次は村歌舞伎を復活させるが、戦場で受けた傷がもとで、足が動かなくなり、春を待てず、2月に、引退公演をする、これがラストシーンとなる。
ラーゲリの飢えと寒さ、強制労働をどう表現するか、声高に反戦を叫ぶのではなく、映画を通して、人間をメチャメチャにしてしまう戦争の恐ろしさ、残酷さ、平和の尊さを訴えることにも力を入れたい。
-上伊那のみなさんへのメッセージを
「成功させる会」を立ち上げ、大勢のみなさんの協力で浄財を集めていただき、目標まで後一歩となった。いい作品をつくることが恩返しになると胆に銘じている。大勢が手を携え、作品づくりをすることで、でき上がった時の喜びを共有したい。四季折々の伊那谷の美しさを世界に発信するために、5月には長谷の熱田神社の撮影をはじめ、伊那谷各地の春景色をフイルムに収めたい。映画を通して、文化活動の裾野を広げ、地域が元気になればうれしい。
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【新年号】子育て支援と地域のネットワーク網構築を目指し、ファミリー・サポートセンター、次への課題
少子化が加速する中、上伊那でも各自治体が「子育て支援」を優先課題として、さまざまな政策を打ち出している。伊那市は昨年4月、「ファミリー・サポート・センター事業」をスタートした。子どもを預かってほしいという依頼会員と、子どもを預かる協力会員に登録してもらい、センターがコーディネート。依頼会員の要望に応じて、協力会員が子どもの送迎や一時預かりなどを提供する有償ボランティア。安心して子育てができる環境の実現と、子育て支援を通じた地域のネットワークづくりを目的とした新しい取り組みは、9カ月を経てさまざまな課題も見えてきた。
◇ ◇
同サービスは依頼会員の対象を「市内に住む生後3カ月縲・2歳までの子どもを育てている家庭」、協力会員の対象を「20歳以上の自宅保育が可能な人」として、特別な資格は求めていないが、協力会員には市の行う事前講習への参加を求めている。12月1日現在で、協力会員37人、依頼会員42人、両方の役割を担う両方会員5人が登録している。
サービスの利用内訳は送迎の利用が圧倒的に多く、一時預かりでは「母親の受診」「PTA活動への参加」「仕事の都合」などといった場合に利用がある。実際に利用した依頼会員からは「助かっている」「子どもも信頼しているよう」など、喜びの声も聞かれる一方で、利用件数は4月当初から40件前後を推移。大きな伸びは見られず、会員数も月に数人ずつしか増えていない。
◇ ◇
協力会員には、子育てに一段落した中高年や、現在も子育て最中の人など、さまざまな世代が登録している。「協力会員」という形を取った理由の一つには、地域にいる若い世代の子育てを、各地区の住民に支えてもらいながら、地区内に網の目状のつながりを構築したいと考えたからだ。しかし現状では、地域によって登録者のばらつきがあり、ある地区の依頼会員から要望があった場合、まったく別の地区の協力会員が対応している事例も多々あり、地域ネットワークの構築までには至っていない。
◇ ◇
双方の会員数が伸びない最も大きな要因は周知不足。しかし一方で、地域のつながりが希薄化する中、子育てにおいても「他人に預けるより自分で育てた方が楽」と考える親が出てきており、地域住民にも、自分の時間を費やしてまで参加しようという意欲を持つ人が少なくなっている現状もある。
市の担当者は「自分以外の人に子どもを預けることで、子どもの知らない一面を知ることもできるし、ベテランから、子育てのノウハウを学ぶこともできる今後は周知を徹底し、各地区に会員を増やしていくことが課題。依頼会員は、利用しなくても登録だけしてもらうなどしてもらいたい」と語った。 -
箕輪町警部交番建築工事進む
伊那警察署箕輪町警部交番の建築工事が進んでいる。
新交番は国道153号バイパスと町道6号線交差点の東。敷地面積は約899平方メートル。箕輪町から借り上げる。
建物は木造1階建て、金属板葺き。本体の建築面積は346・74平方メートル、外物置は3・31平方メートル。事務室、会議室、相談室、所長宿舎などを備える。
駐車場は10台。その内、身障者用1台。
工期は07年3月20日まで。3月末までに新交番に引越し、4月以降に落成式を予定する。
現在の交番は、07年12月末までに取り壊し、敷地を町に返還する予定。
長野県住宅部が発注。請負業者は設計・管理が環境計画(伊那市)、建築工事が浅川建設工業(箕輪町)、電気設備工事が伊那エンジニアリング(伊那市)、機械設備工事が水道建設(岡谷市)。請負金額は約6300万円。 -
箕輪町学童クラブ東部教室が宅老所を訪問
手作りペープサート披露箕輪町の学童クラブ東部教室は28日、北小河内にある宅老所なの花を初訪問し、手作りのペープサートなどを発表してお年寄りと交流した。
東部教室には箕輪東小学校と南小学校の児童が通っている。クリスマス会のために皆で手作りしたペープサートをおじいさん、おばあさんにも見てもらい交流したい-と訪問を計画。皆でアイデアを出し合って少しずつ準備し、今回は2年生から4年生までの7人が訪れた。
ペープサートは「ヘンゼルとグレーテル」。大きな声で感情を込めて発表すると、利用者13人が、「上手だね」「良く出来てるね」と拍手しながら見入った。
「これはのみのピコ」のお話も紹介。「チューリップ」「ちょうちょ」を歌い、利用者と一緒に折り紙も楽しんだ。折り紙のお土産もプレゼントした。
学童クラブ指導員と事務局による春夏秋冬の話や歌を楽しむブルーシートシアターもあった。
利用者は、「握手してちょうだい。ありがとう」と笑顔で児童に話しかけた。南小4年の儀保ユリさんは、「今日は楽しみにしてきた。緊張しないでよくできた」と話していた。 -
たかずやの里が正月期間を利用していじめ相談窓口を設置
伊那市富県の児童養護施設「たかずやの里」は1月2、3日、いじめによる自殺防止を目的とした電話相談窓口を設置する。相談は秘密厳守で対応。学校以外の場所から子どもを支援することで、これまで話したくても相談できずにいた子どもにも活用してほしいと考えている。相談に対応する北原伍さんは「相談窓口が必要でないのが一番だが、相談することすらできない子がいるのも事実。その人の立場に立って相談に乗りたい。本当に苦しんでいる人がいたら、ぜひ相談を寄せてほしい」と呼びかける。
さまざまな事情を抱える子どもの保護・ケアに当たる同施設では、これまでも子育て支援の一環として施設外部者の相談に対応している。
いじめによる自殺が取り沙汰される中、同施設の経験や専門性を活かして子どもを支援しよう竏窒ニ検討。自殺を考えたことのある子どもや、いじめを受けている子どもとその保護者などを対象として窓口を設置することにした。
相談にはロジャース流カウンセラーなどの資格を持つ家庭支援専門相談員が対応。まずは期間を限定してニーズの把握に努める。相談件数が少なかった場合も引き続き窓口を開設し、潜在的な相談が寄せられるのを待つ。対象範囲は上伊那。必要があれば、第2回以降の対象は県内に広げる。相談者には継続的なケアをしていく。
相談時間は午前9時縲恁゚後5時(時間外は留守電で対応)。
相談先はたかずやの里相談室(TEL0265・73・8118)へ。 -
箕輪中部小2年1組
リンゴ学習の収穫祭箕輪町の箕輪中部小学校2年1組(36人、気賀沢千鶴子教諭)は27日、リンゴ学習の成果を発表する収穫祭を開いた。学習でお世話になった人や家族を招き、リンゴ料理やカレーでもてなした。
1年生のとき、松島の有賀徳夫さん・一治さんの果樹園にリンゴ狩りに招待してもらったのをきっかけに、「リンゴを育てたい」と、有賀さんの協力を得て生活科の学習で取り組んできた。
毎月1回、果樹園を訪れてリンゴを観察し、摘果、葉摘み、リンゴに絵を付けるためのシール張り、収穫を体験。収穫したリンゴで、ジャムやアップルフリッター、アップルパイなども作った。
収穫祭には有賀さんと保護者を招待。お母さんたちにも手伝ってもらい、学級菜園で作った白菜、ブロッコリー、ジャガイモも使ってカレー、リンゴサラダ、アップルパイを準備した。
「リンゴはすごく蜜があって甘くておいしい」「苦労した味がする」と笑顔の児童。「リンゴのことがわかった」「いろいろな仕事があってびっくりした」などと学習の感想を発表し、国語の時間に書いたリンゴを主人公にした話も紹介した。
有賀さんは、「この経験を学校の勉強に役立ててほしい」と話していた。 -
琴伝流大正琴の長井グループがチャリティーコンサートの収益を伊那市に寄付
11月にチャリティーコンサートを開催した琴伝流大正琴「長井グループ」(長井幸子代表)が27日、コンサートの収益金20万円を伊那市に寄付した=写真。
同グループの指導者・長井幸子さん(70)=伊那市美篶=は昨年度、市の教育文化功労表彰を受賞した。また、11月に長井さんが古希を迎えたことから、表彰を支えてくれた周囲の人たちへの感謝と、古希祝いを兼ねたチャリティーコンサートを企画。演奏には直弟子、孫弟子など約50人が参加し、盛況を得た。
コンサートの実行委員を務めた3人とともに市役所を訪れた長井さんは「コンサートは最初から最後までいてくれる人が多く、いいものが出来た。これからは若い人に活躍してほしい」などと話していた。
今回の寄付は市の文化振興基金に積み立てる。 -
茅の輪くぐり
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飯島町の梅戸神社で28日、師走の大祓い式が行われた。雨混じりの寒風の中、氏子ら25人が拝殿前に設えた茅の輪をくぐり、1年のけがれをはらい、来る年の無病息災と招福を祈った。
茅の輪の神事は日本古来の行事。同神社は毎年の師走の28日に実施している。
氏子らはまず、日ごろ知らず知らずに身に付いた罪や汚れを払い、人形(ひとがた)に擦りつけおさめた。
続いて、氏子総代らが竹やカヤで作った直径2・5メートルの茅の輪の前に勢ぞろいし、茅野建夫宮司を先頭に、1列になり、神妙な面持ちで3回輪をくぐり抜け、一家の健康と招福を祈った。 -
おせち料理って何だろう?東保育園児が新年の風習にふれ
宮田村東保育園は28日、年末年始休業を前に終わりの会を開いた。園児はおせち料理など新年の伝統文化について楽しく学び、正月が来るのを・ス指折り・ス数えた。
飯島千恵子園長が、しめ縄飾りや鏡もちなど正月の風習を子どもたちに紹介。「幸せが入ってきますようにって、お餅を食べるんだよ」と話した。
おせち料理についてもゲーム感覚でお勉強。レンコンやこぶじめなど、なぜ正月に食べるのか由来なども聞き、園児たちは正月気分を高めた。
良い新年が迎えられるように、教室なども園児全員で清掃。新年は4、5日に希望保育を行なうが、9日から通常の園生活が始まる。 -
駒ケ根市内4小学校2学期終業式
駒ケ根市内の5つの小学校のうち赤穂東小を除く4小学校は27日、2学期の終業式をそれぞれ開いた。
中沢小学校(北原三千生校長)では全校の児童らを前に、代表の児童が季節ごとの絵を描いた手作りのカレンダーを紹介したほか、運動会やマラソン大会など、2学期の行事の思い出を作文にして発表した=写真。
北原校長は「長かった2学期には楽しい行事がたくさんあった。明日から13日間の冬休みに入るが、交通事故などに気をつけて、1月10日には全員が元気で登校してほしい」と呼び掛けた。
市内5小学校の年末年始休業はいずれも1月9日まで。 -
箕輪北小5、6年生がしめ縄作り
箕輪町の箕輪北小学校5、6年生は26日、地域のお年寄りに教わってしめ縄を作った。
伝統行事に触れ、地域のお年寄りに学ぼうと、毎年5、6年生が体験する。
今回は、北小学校区3区の長寿クラブの24人が指導に訪れた。しめ縄は三垂れ、丸型の2種類。5年生の米作り学習のわらや、児童が各自持ち寄って作った。
6年生は昨年も経験しているため、少し高度な技術を取り入れたしめ縄作りに挑戦。わらをなう作業や3本の垂れを均等にする、形を整えるなど苦労しながらも、それぞれのしめ縄を作り、扇やタイ、ウラジロ、御幣などを飾り付けて完成させた。
6年生の山内愁君と宮坂良祐君は、「縛るところやバランスを整えるところが難しい」「作ったしめ縄は家に飾る」と話し、熱心に作っていた。